中国の「信用社会」はどこまで信用できるか アリババ、テンセントも関連ビジネスに参入
さらに、2015年に中央銀行が「個人の信用評価業務に関する通知」を公布し、個人の信用評価における民間企業の参入を認めるようになっている。EC最大手アリババグループ傘下のアント・フィナンシャルのゴマ信用サービスをはじめ、テンセント征信や前海征信(平安保険グループの子会社)など民間8社が、信用調査業務の準備に関する許可を得た。
これらの民間企業は、信用評価の新たな試みとして借金の返済履歴だけでなく、決済やサービス利用の記録といったビッグデータを基に、個人や企業の信用状況を分析する。
テクノロジーの活用は「両刃の剣」になりかねない
ゴマ信用を例に挙げると、アリババが所有するデータや政府関係部門からのデータを基に、主に属性(身分の特徴、学歴情報など)、信用記録(借金返済や公共料金の支払い、交通違反などの記録)、返済能力(財産状況、電子決済アプリの残高など)、嗜好や消費習慣、人間関係という5つの側面から評価し、その結果をスコアにしている。
その後、2018年に政府系の中国インターネット金融協会と、前述の民間8社との共同出資で、「信聯(百行征信有限公司)」が発足。当局から個人の信用評価ビジネスのライセンスを取得した。今後どう展開していくか関心を集めている。
言うまでもないが、中国が信用社会の構築を求める背景には、中国自身が直面している多種多様な不祥事や課題を解決すべきだという共通認識がある。
一方、テクノロジーによる安全で利便性の高い社会の実現は、人々のプライバシーを脅かしかねない両刃の剣だ。中国はテクノロジーによって「信用の壁」を乗り越えられるのだろうか。日本人にとっても、他人事ではないはずだ。
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