中国が超速で「IT先進国」に変貌している理由 無人店舗、スマホ決済などすべてが超速
2017年7月、無人店舗「タオカフェ」が中国メディアの話題をさらった。
タオカフェは中国の電子商取引(EC)最大手、アリババグループの手になるもの。大きめのコンビニ程度の店内にはコーヒーなど飲料品の注文コーナーがあるほか、雑貨や土産物などの売り場が併設されている。アリババグループのノベルティグッズや、後述するタオバオ・メイカーフェスティバル出店企業が制作した記念品が販売されている。
アリババのECサイト「タオバオ」のスマートフォンアプリでQRコードを読み込んでから入店。あとは商品を選んで店から出るだけで買い物が終了してしまう。店員がいないだけではなく、財布を取り出したりスマートフォンで決済したりする必要すらない。
初日は1万人の客が殺到
飲料品の注文は音声認識で行われ、客がレジに話しかけると自動的に注文が認識される仕組みだと紹介されていたが、筆者が訪問した時点ではレジに店員が立っており、客ではなく店員が音声で注文していた。構想では単なる音声入力ではなく、声紋を解析して注文者が誰かを認識し、注文と同時に決済も行われる仕組みだという。
技術面の詳細については非公開だが、筆者の観察したかぎりでは顔認証と非接触型の無線タグ(RFIDタグ)を使っているようだ。入店時にカメラで顔認証を行い顧客を特定。退店時にはRFIDタグによって購入商品をカウントし、顔認証によって特定した顧客の電子決済口座から代金を引き落とすという仕組みになっている。
同店はあくまでコンセプト店であり、7月8日から12日に中国の杭州で開催された淘宝造物節(タオバオ・メイカーフェスティバル)期間限定の公開だ。商品1点1点にRFIDタグが付けられているためそれなりのコストがかかっているはずだが、タグの回収などは行われていない。
採算度外視のコンセプト店だからこそできる手法ではある。現時点ではアリババグループが正式サービスとして展開する計画はないが、強烈な未来感を与える無人店舗は大きな注目を集め、公開初日にはタオカフェに約1万人もの入場客が押し寄せ、長蛇の列を成していた。
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