中国が超速で「IT先進国」に変貌している理由

無人店舗、スマホ決済などすべてが超速

ここ半年ぐらいだろうか、中国IT企業から極めて独創的かつ先進的なビジネスが登場している。2016年の本格導入から猛烈な勢いで普及が進むモバイクなどのシェア自転車や、アリペイ、ウィーチャットペイなどのスマホ決済がその代表格だ。

かつての中国といえば、先進国の下請けとしての「世界の工場」や、高速鉄道に象徴されるように、外資の技術からノウハウを吸収したうえで国産化に挑むというイメージが強かったが、IT分野では今や米国に次ぐイノベーションの発信地という地位を確立しつつある。

民間のIT企業が中国経済をリード

タオカフェの店内。中国がイノベーションの発信地となりつつある(筆者撮影)

この変化の背景には何があるのだろうか。現在、中国企業の時価総額1位はEC最大手のアリババグループ、2位がスマホ向けメッセンジャーサービスを擁するテンセントだ。銀行や国有企業ではなく、民間のIT企業こそが中国経済をリードする存在となっている。

この2社に検索最大手のバイドゥ、EC大手のJDドットコム、スマホ製造大手のシャオミなどを加えたITジャイアンツは、AIとビッグデータに象徴される新技術の時代で覇権を勝ち取るべく、積極的な投資を続けている。

2016年、アリババが企業買収・出資に費やした額は約4600億円。テンセントはそれを上回る約5000億円を投じている。革新的なサービスを生み出せば大手企業による買収という出口が見えるだけに、ベンチャーの先鋭的なサービスが続々と登場。中国IT業界にはイノベーションと変革を追求する動きが広がっている。

熱を伝えているのは投資マネーだけではない。新たなパラダイムが破壊的なものになると声高に叫び続ける「語り部」的存在が、アリババグループの創業者ジャック・マー(馬雲)氏だ。経営の第一線からは身を引いた同氏は現在、年100回以上もの講演をこなしているが、最近はというとパラダイムシフトを強調する発言が続いている。

アリババグループは7月12日、同じ杭州で第10回天下網商大会(グローバルネットショップカンファレンス)を開催した。マー氏は「Made in Internet」とのタイトルで講演した。

天下網商大会は2004年から2012年にかけてアリババが毎年開催していたイベントで、中国ECの未来を指し示す羅針盤として注目されていた。ECに対する認知が十分高まったとして休止されていたが、大変革の時代を迎えた今こそIT企業家やネットショップ・オーナーにメッセージを送る必要があるとして再開を決意したという。

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