日本がアジア新興国のデジタル化に学ぶべき事 普及した分野とそうでない領域で差も出ている

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インドで広がるオンライン診療(写真:ロイター/アフロ)
デジタル技術は、コロナ禍を受けて新興国・途上国でいっそう広まり、現地の社会インフラを変えつつあります。『デジタル化する新興国――先進国を超えるか、監視社会の到来か』を上梓した、東京大学社会科学研究所准教授の伊藤亜聖氏によると、日本にもこれらアジア諸国のデジタル社会から学ぶヒントがあるようです。

パンデミックのなかで、日本だけでなく、新興国・途上国でも新たなデジタルサービスの利用が広がった。特に利用が期待され、普及につながっているのがキャッシュレス決済、ビデオ通話機能を用いた遠隔での診療と授業、在宅勤務(リモートワーク)である。

アフリカのケニアでは、2020年3月、キャッシュレス決済サービスM-Pesaを運営するサファリコムが、約1000円以下の個人間の低額決済の手数料を3カ月間無料化した。これはケニアの中央銀行とウフル・ケニヤッタ大統領の後押しを受けて実施された措置で、感染症対策として始動したものだ。

ケニアよりもキャッシュレス決済の普及が遅れていたガーナ、南アフリカ、ナイジェリアでも同様にキャッシュレス決済を推奨する動きが見られており、コロナ危機のなかで非接触での決済を初めて利用するユーザーが増えているようだ。

インドでは2020年3月に緊急経済対策が発表され、そのなかに生体認証IDアダールを活用した直接現金給付が含まれた。約8500万戸の貧しい農家への給付金が、アダールと紐づいた銀行口座に振り込まれた。コロナ危機以前に準備されていた個人認証制度が機能したかたちだ。

中国ではSARSがEC普及のきっかけに

ただ運用面では、アダールを所持していないか紛失しているために穀物の無料支給を受け取れなかった事例が報告されている。個人認証システムの有用性を国民に広く理解してもらう必要がある(野口2020)。

新型コロナウイルスの震源地となった中国では、2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際に人々が外出を避けたことが、電子商取引の普及のきっかけとなった。このため今回のパンデミックでも当初から、同様に新たなビジネスが拡大する契機となるのではないかと期待が持たれた。

今回、中国で普及したツールの筆頭がグループウェアである。グループウェアとは利用者間で音声通話やメッセージをやりとりする機能に加えて、出退勤管理、業務管理、カレンダー機能、稟議の提案と許可といった、オフィス向けの機能を揃えたサービスである。

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