武漢を蔑む日本人は「中国人の本質」を知らない 彼らは幸せで「自分たちは強い国」と思っている

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新型コロナウイルスの震源地となった武漢だが、今はにぎわいを取り戻している(写真は今年10月の武漢駅周辺、新華社/アフロ)
いまだ世界で猛威をふるうコロナ禍を最初に体験した中国・武漢から、女性作家・方方(ファンファン)が発信し続けた60日間の記録『武漢日記』は、日本でも発売以降、大きな反響を呼んでいます。
日本のメディアが報じる「武漢」とリアルな視点で描かれる「武漢」の違い、そして日本の状況との意外な共通点とは――。『武漢日記 封鎖下60日の魂の記録』の訳者の1人である飯塚容さんと、コロナ禍の日本社会の歪みを鋭く切り取り続けるライターの武田砂鉄さんが、いまこの記録を読む意味について、語り合いました。

やってくる恐ろしい未来を「翻訳」していた

武田砂鉄(以下、武田):いつ頃から『武漢日記』を翻訳し始めたのですか?

飯塚容(以下、飯塚):出版社から相談が来たのが3月中旬でした。

武田:WHOが新型コロナウイルスの感染拡大を「パンデミック」と認定し、日本でもマスク不足が深刻となり、感染者数が徐々に増え始めていた時期ですね。つまり、世の中全体が本格的にビビり始めた頃に、もう翻訳に着手し始めたんですね。

飯塚:そうです。中国の状況も、日本の状況もどんどん動いている中でこの日記を翻訳するのは非常にスリリングでした。頭の中で、つねに日本の状況と結び付けながら翻訳していました。

武田:まさに追体験するような感じですね。日本にやってくるかもしれない恐ろしい未来がそこに書かれているような。翻訳している本に描かれている出来事と日本で起き始めている出来事が重なっていく怖さって、特殊な体験ですね。

飯塚:もちろん武漢のほうが深刻な状況だったわけですが、そこからどうやって抜け出していったのか、為政者はどういう行動に出たのか、一般の民衆はどのようにして自分を守ったのかなど、非常に身につまされながら翻訳しました。

武田:その頃、日本のワイドショーやニュースで、武漢がどのように報じられていたかを思い出すと、パニックの中、スーパーで強奪が起きたなど、とにかく人と人とがぶつかり合い、殺伐としている光景を取り上げていた。あっちはとりわけ大変なことになっている、と。で、その記憶をもとにこの本を読むと、まず感じるのは、起きていることは一緒だった、ということです。

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