愛国心が「愛国心」に叩かれる
武田砂鉄(以下、武田):この本を読むと、「愛国心」という軸足を感じます。この国をどうしたらいいのか、どういうことを考えていけばいいのか、そして、誰に対して異議申し立てすればよいのか。国のことを愛しているがゆえに問題視する姿勢が、カギカッコつきの強固な「愛国心」に叩かれるというのは、日本でも、アメリカでも、そして中国でも、世界で共通することなんですね。
飯塚容(以下、飯塚):そういう世の中になってしまっていますね。SNSが発達したおかげで、方方さんはこうやって発信することができて、日本にいるわれわれもリアルタイムで読めたわけです。それはすばらしいことなんですが、逆に批判する人たちもたくさん出てきて、どんどん叩かれて、集中攻撃に遭う。これは痛し痒しというか、裏腹のことなんでしょうね。
武田:3月10日の日記に、方方さんが雑誌『騒客文芸』からのインタビューにメールで回答したものが転載されています。その中でインタビュアーが、メディアを信じるよりも、方方さんの日記に注目したほうがいい、などと言いながら、方方さんを機嫌よくするような質問をすると、方方さんは「メディアを信用しないというのも、あまりに偏った考え方ではないでしょうか」と返しています。
方方さんはさまざまな言説を読み解いているのでしょうが、おべんちゃらしかやらないジャーナリストもたくさんいるのでしょう。国民のメディアとの付き合い方は千差万別なのでしょうが、どのように付き合っている人が多いんでしょうか?
飯塚:政府系の巨大メディアがたくさんあります。方方さんは、別の日の「日記」では激しいメディア批判をしています。そういうメディアは「プラスのエネルギー」の情報しか流さないわけで、そうした点を強く批判しているんです。