コロナが映す「平和な社会」に必要な5つの視点

民主主義の走錨とまだらな発展が浮き彫りに

新型コロナ後の世界に向けて新しい平和な社会を構築するために(写真は東京都内で6月9日撮影、ロイター/Issei Kato)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が続いている。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学による世界の集計では、2020年6月に入っても感染者数は毎日10万人規模で増え続け、6月10日時点では724万人に達し、死者数も41万人を超えている。

筆者はもちろん感染症の専門家ではない。しかしながら今回の世界保健機関(WHO)がパンデミックと認定した新型コロナウイルス感染で改めてみえてきたことを「走錨する民主主義」と「まだらな発展」の2つの観点から論じてみたい。

「走錨する民主主義」と「まだらな発展」の意味

両者ともに筆者の造語である。まず前者について詳しく解説しよう。「民主主義」が退行、さらには逆行しているというような評価が聞かれる一方で、「民主主義」の解釈がそれぞれの国によって意図的に、あるいは必然的に異なってきている。むしろ現代社会においては「民主主義」の解釈を見えない形で自国に引き寄せているのではないか。それはまるで「民主主義」丸という船舶が同概念を乗船させたまま、錨を下ろしたはずなのに漂流しているさまを彷彿させる。つまり、「民主主義」が走錨していると考えた。

次に後者について述べよう。筆者は長年にわたり途上国を訪れ、開発の現場に足を向けてきたが、特に1990年代後半以降の途上国現場でいつも直面する現実は、先進国との「開発の同時代性」であった。たとえば、1999年8月の住民投票前後から、インドネシア支配下を含め紛争後の東ティモールの平和構築、その後の国家建設を直近でみてきた。紛争で破壊された電気通信の復旧過程でも、固定電話の普及を一気に飛び越え、いまやほとんどの若者が携帯電話を持ち、それもスマホを持ち、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワークを通じて世界の人々とつながっていることだった。

他方で、農村地域を訪問すると都市部との生活水準が異なる貧困や低開発が日常化しているのだ。要するに発展の形態が所得格差を背景にした「まだらな発展」となっていることに気づく。

今回の感染の拡大とそれで引き起こされた諸問題が実に上記の2つの問題と相関しているのだ。以下、今後の新しい平和な社会の構築に向けて、今回の新型コロナ感染拡大で見えてきた5つの重要な視点を提起してみたい。

第1に、所得格差を背景にした問題が顕在化した。

今回のコロナ禍では平常時における所得格差以上の危機が貧困層を襲っている。先進国では下層に追いやれた低賃金労働者を中心に国家の社会保険サービスにアクセスできない層が感染のさらなる拡大を促した。アメリカでは高額な医療費の支出を回避していたことで、結果的に多数の感染死を出すことにつながった。

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