コロナと共存する私たちに絶対欠かせない知識

危機に揺さぶられる政治、経済、外交の変質

私たちはこれを避けて通るわけにはいかない(写真は緊急事態宣言後、6月1日の東京駅周辺の通勤風景、撮影:梅谷 秀司)

『コロナの衝撃 感染爆発で世界はどうなる?』(ディスカヴァー携書)の著者、小原雅博氏は、東京大学大学院法学政治学研究科教授。2019年12月に中国武漢で発生して以来、一気に中国全土に広がり、今年3月には世界的なパンデミックとなった新型コロナウイルスの動向を日々追いかけてきたのだという。

幸い、ネットのお陰で、いつでも海を越えて多くの友人とつながることができる。新型コロナウイルス感染が報じられ始めると、中国にいる何人かの友人と情報を交換し、意見を交わすようになった(「はじめに」より)。

中国での感染は収束に向かったものの、世界での感染の勢いは止まらない。日本も同じだ。緊急事態宣言が解除されたことにより、どことなく“一件落着ムード”が漂っているが、決して楽観できるような状況ではない。

しかも危機は健康面だけではなく、経済、政治、外交、安全保障などにも及んでいる。むしろ最大の問題はその点であるとも言えるだろう。そこで本書は「複合危機」という観点から、コロナ禍に揺さぶられる経済、政治、外交の動きを中心に取り上げているのである。

筆者が重視したのは、感染症が私たちに突き付けているいくつかの本質的疑問である。それは、国家や社会と個人の関係、望ましいガバナンス、安全と自由やプライバシーの関係、政治・安全保障と経済の関係などであり、政治家やメディアが必ずしも十分に取り上げてこなかったテーマでもある(「はじめに」より)。

序章での問題提起に続き、まず第1章では武漢で感染が拡大した経緯を振り返っている。続く第2章と第3章で論じられているのは、新型コロナウイルスが政治と経済に与えた影響だ。

中途半端な収束ムードが漂う今だからこそ

つまりここまでを確認すれば、2019年12月から現在までに起きたことを、冷静かつ客観的なスタンスで再確認することができるのである。それは、中途半端な収束ムードが漂う現在だからこそ重要なことだと思える。

「収束してよかったね」と単純化して終わらせるのではなく、本当に大切なのは“これから”だからだ。

そういう意味で、さらに重要なのは終章「私たちは何をすべきか」かもしれない。ここでは“危機後の世界”を展望し、私たちがこれからすべきことに焦点を合わせているかである。

この章において大きなヒントとなりそうなのが、世界に先駆けて感染収束と経済正常化にこぎつけたかに見える中国の人々の声だ。小原氏が5月の初めに100人以上に及ぶ中国の友人にSNSで尋ねてみた結果、多くの人が「変化」に言及したというのだ。

それは、大きく「オンライン化」「『安全』と『自由』」「世界の構図の変化」の3つに整理できるという。それぞれを確認してみよう。

次ページ生活様式の変化──「オンライン化」や「健康と衛生」
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