感染症から国民を守れない「日本版CDC」の大問題 関連法が成立「対策の中心的役割を担う」組織

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日本版CDCは感染症対策の要になり得るのか――(写真:Graphs/PIXTA)

5月31日、アメリカの疾病対策センター(CDC)に倣い、政府の感染症対策の中心的役割を果たす「日本版CDC」の新設に関連する法律が成立した。報道などによると、2025年度以降に設置されるという。

結論から言うと、私は日本版CDCの新設には反対だ。なぜなら日本版CDCを作ることで、日本の感染症対策はますます停滞すると考えるからだ。本稿でその問題点をご紹介したい。

アメリカCDCとはどんな組織か

CDCはアメリカの国立公衆衛生機関で、健康に関して政府の意思決定を支援しているブレインのような組織だ。科学的なデータをもとに、アメリカおよび世界中の病気、傷害、障害の管理と予防を通じて、公衆の健康と安全を保護することを目的とし、世界60カ国にスタッフを常駐させて、各国の団体と協力体制を築いている。

特に伝染病には力を入れており、映画『アウトブレイク』のモデルであり、2014年に西アフリカでエボラ出血熱が大流行した際にも活躍した。

では、日本ではどうか。

新設される日本版CDCを構成する主要な組織は、国立感染症研究所(以下、感染研)と国立国際医療研究センター(NCGM)だ。両者を統合して新たな特殊法人を設立し、理事長は厚労大臣が任命する。実務面では、感染研の調査研究とNCGMの臨床機能を融合するらしい。

国立感染症研究所と国立国際医療研究センター(NCGM)(写真右:khadoma、左:MARODG/PIXTA)

はたして、このような機関の権限や予算を強化することで、わが国のコロナをはじめとする感染症対策は改善されるのだろうか。

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