感染症から国民を守れない「日本版CDC」の大問題 関連法が成立「対策の中心的役割を担う」組織

✎ 1〜 ✎ 199 ✎ 200 ✎ 201 ✎ 202
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

確かに、日本のコロナ研究力は弱い。下のグラフは、昨年12月24日時点の経済協力開発機構(OECD)加盟国と中国のコロナに関する論文数を示している。医療ガバナンス研究所の山下えりか研究員が、アメリカ国立医学図書館データベース(PubMed)を用いて算出した。

日本のコロナ論文数は、主要先進7カ国(G7)では最低で、トルコと同レベルだ。論文数を人口あたりに換算すれば、チェコ、中国、メキシコ、コロンビア、スロバキアに次いで少ない。

何が悪いのか。感染研の研究力が弱いことが問題の真相ではない。

下の表をご覧いただきたい。同じく山下研究員が、昨年6月25日時点のG7および中国の政府系研究機関のコロナ論文数を調べたものだ。

感染研は295報のコロナ論文を発表しており、アメリカや中国の政府系研究機関と比べれば見劣りするものの、ほかの先進国の研究機関より論文数は多い。

感染研への依存度が高い日本の研究

日本の問題は、感染研への依存度が高いことだ。感染研が発表した論文数はわが国が発表した論文数の4.5%を占め、今回の調査対象の8カ国9機関の中で最も多い。

この状況は、逆に言えば、感染研以外の研究機関からの発表が少ないことを意味する。

研究機関といえば、大部分は大学だ。次の表はイギリスのクアクアレリ・シモンズ(QS)社が公表した「世界大学ランキング2023」における世界の上位20大学、アジア・日本の上位10大学のコロナ論文数を示す。

次ページ大学のコロナ論文数
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事