コロナと共存する私たちに絶対欠かせない知識

危機に揺さぶられる政治、経済、外交の変質

新型コロナ・パンデミックは2008年の世界金融危機の結果と同じく、「中国1人勝ち」になるとの見方を語る書き込みもあったというが、いずれにしてもこうした記事や書き込みには、近年の中国に広がる「傲慢」とも指摘される自信がうかがえると小原氏は言う。

習近平国家主席は、「4つの自信」を唱えてきた。そこには、中国共産主義統治という政治制度を至上の価値とする政治の掟がある。自信は確信に変わり、確信は信念となる。鉄のような信念によってこそ米国との体制闘争に勝利できるとされる。習近平政権下では、そうした左傾化とナショナリズムが強まっていた(157ページより)。

ところが、そんな党の自信を、武漢の感染爆発が吹き飛ばしてしまったのである。そればかりか、情報隠蔽や中央と地方(武漢)の意思疎通の欠如が、初動対応の致命的遅滞につながったことはご存じのとおりだ。その結果、党は厳しい批判と圧力に晒されることになった。

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しかし、その後の徹底した強権的措置によって、ウイルス封じ込めに成功。そののち「中国終息と欧米蔓延」という構図が生まれると、習政権は反転攻勢に出る。形勢が逆転したわけだが、だからといって、パンデミックにつながった初動の失敗が消えるわけでは当然ない。

一方のアメリカでは、ドナルド・トランプ大統領の「独善的無警戒と根拠のない楽観論」が被害を甚大なものにした。もはやツイートでの誇張や自画自賛によって非難を避けることは不可能だが、それでも「中国の情報隠蔽によって大きな被害を受けた」という批判には支持が集まる。

いずれにしてもトランプ大統領は、この人類レベルでの危機的状況においても国際的な指導力を一切発揮しようとはしない。エボラ出血熱が流行した際に(2014〜2015年)、有志連合を組織して感染封じ込めに尽力したバラク・オバマ前大統領とは対照的である。

中国の「権威主義」か、アメリカの「自国第一」か

染を広げた中国の「権威主義」と世界を顧みない米国の「自国第一」、果たしてどちらが国際社会の信頼を勝ち取るだろうか?(158ページより)

感染症には、イデオロギーもルールもない。また、国境を難なく越え、民族をも超越して人類を襲う。そんな感染症の怖さに直面している私たちには、避けて通るわけにはいかないことがあると小原氏は主張している。

それは、この危機に潜む本質的な問題と向き合い、議論し、その答えを求めることだ。そうすることによって、国家や社会をより望ましい形に変えていかなくてはならないということだ。

そういう意味でも、コロナ禍を他人事のように捉えるわけにはいかないのである。

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