ポストコロナ「世界経済は根本的に変質する」

超監視社会の登場は民主主義にどう影響するか

ポストコロナの世界では経済、社会、民主主義のあり方が大きく変質するだろう。中国で4月に撮影(写真:ロイター/ALY SONG)
新型コロナウイルスの猛威によって、日本を含む世界の社会と経済が大きな打撃を受け、ポストコロナでは国際政治や世界経済の構造や秩序が大きく変化してしまうことが予想されます。
ジャーナリストでシンクタンクのアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)を率いる船橋洋一氏と国際政治学者でAPI上席研究員でもある細谷雄一・慶応義塾大学教授の緊急対談第3回をお届けします。(本対談はオンライン会議で行われました)
第1回:ポストコロナ「日本特殊論」との決別が必要な訳(2020年5月4日配信)
第2回:「ポストコロナ」米中いずれも勝者になれない訳(2020年5月11日配信)

変質を余儀なくされる経済

船橋 洋一(以下、船橋):前回はポストコロナの世界秩序を展望しましたが、今回は経済と社会に目を向けたいと思います。

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アメリカでは新型コロナウイルスによる死者数は8万人以上になりました。すさまじい惨状です。そして3300万人が失業保険を申請しました。4月の失業率は14.7%です。介護施設の高齢者が狙い撃ちされているかのように犠牲になっています。痛ましい限りです。コロナの感染死者はどこも高齢者が多いですが、しかし、真の犠牲者は教育の機会を奪われた子供と収入を絶たれた若者ではないかとも思います。それも非正規の労働者たちです。

日本の「失われた時代」のときの「日本化」現象が今度は世界で起こる。そして、雇用が失われれば消費は冷える、企業の売り上げと収益が激減すれば、株価も信用も落ちる、金融不安と貸し渋り、貸し剥がしが起きる、それがバランス・シート不況をもたらすことは必至です。

コロナ危機が世界経済に及ぼす影響は、20世紀前半の世界大恐慌レベル以上のマグニチュードとなると予想されます。しかも、リーマンショックのような金融ノックアウト危機にとどまらず、まず、実体経済が需要蒸発で陥没し、それが金融システムを直撃し、信用を収縮させ、それがまた実体経済を凍結させるという共振連鎖型の危機です。

なかでも今回、恐ろしいのは自動車産業です。フォードの社債金利はすでに9%に跳ね上がっています。債務が雪だるま式に膨らむでしょう。自動車の場合、部品メーカーが倒産する危険も大きい。この基幹産業が持ちこたえられなくなると、その影響は計り知れません。

各国首脳はどこも祈るかのようにV字回復に言及しますが、今後1~2年の間に、第2、第3波の感染が広がる可能性も否定できません。開いて、閉めて、また開いて、また閉めてといったノックダウンを起こしてしまう。コロナ危機がワクチンの登場で完全に終わらない限り、V字回復だと言って金をばらまいても、一方で「家にいろ」「店は開くな」の状態で経済を刺激できるはずはない。

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