新型コロナウイルスによる自粛生活の中、テレビの役割が変わり重要性は増しているように思える。だが企業の広告活動は萎縮しており、事業としてどうなのかも気になる。そこで「中の人」たちの考えを探るべくアンケートを行った。私が名刺交換をした700人強の放送業界の人たちにメールでお願いし、60人もの方々が回答を寄せてくれた。その概要をレポートする。
後半はほとんど文章で書いてもらう質問だったが大変貴重な実感や見解ばかりだったので、できるだけ多く掲載する。放送業界の人々が悩み苦しみながら新しい方向性に目覚めつつある姿がにじみ出ている。他産業の方々にも参考になるだろう。
都市部も地方も意外と進むテレワーク
まず回答者の所属を聞いたところ、以下のような内訳だった。
約7割がローカル局、約2割が民放キー局、残り1割弱がケーブルテレビ局だった。また一部業界団体など広い意味での放送事業関係者もいた。次の質問は「新型コロナウイルスの影響がおさまるのはいつ頃だと思いますか。今まで通りの放送ができるようになるかを基準に回答してください」というもの。
さすがに「5月になってから」はゼロ。25.4%が8月まで、45.8%が12月まで、一年以上続くと考える人も20.3%いた。それ以外は記述回答した人たちで、大きく括ると予想もつかないが長引きそうとの見方だった。もうコロナの影響は、すぐに片が付く問題だとは誰も考えていないのだ。
ここから先は、記述式で回答を求めた3つの質問への答えを紹介する。一つ目は、「現状、業務はどうなっていますか?制作面でも編成面でも営業面でも技術面でも構わないので答えやすいところを回答してください」という質問。仕事への影響を聞いたわけだが、実にさまざまな領域について丁寧に答えてくれていた。
まず目についたのが、テレワークについて。実は3月初旬にもアンケートを行いテレワークについて聞いたのだが、そのときは54.5%が「会社としての命令は出ていない」と答えていた。主にローカル局の方の回答で、当時はまだ大都市圏以外はそこまで求められていなかったのだろう。だが今回はローカル局でもテレワーク化が進んだことを感じさせられた。「ローテーションを組んで1週間のうち最低1日は出社」「4月13日の週からようやく具体的に動き始めた」などの回答が目に留まった。
「まだ大都会ほどの影響はない」との回答もあり、温度差はまだあるようだ。また「放送局社員の在宅率は高いが制作関連会社の在宅率は当然ながら低い」との回答もあったのは気になる。
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