まず多かったのが「働き方」についての回答。「テレワーク、効率的な働き方のスタンダード化」「旧体制の勤務スタイルやワークフローが変わる」など、遅れていた働き方改革が一気に進みそうな気配だ。「会議はWEBで十分、出張も必要なしということに気づいた。また社員、スタッフが定時に出勤する意味もなくリモートワークが活用できることもわかった。」というシニカルな回答もあった。効率的な働き方に放送業界が目覚めはじめているのかもしれない。
番組の作り方が変わると予感する意見も多かった。「再放送に耐えられるような蓄積性のある番組コンテンツが見直されるかもしれない」「新たな発想の演出、企画、効率性と生産性の両立」などは、エンタメの作り方の変化を感じた意見。
一方で「エンタメとライブ、前者はVOD(動画配信)に、後者はブロードキャスティング(電波放送だけでなくネット放送含む)にシフト」「ローカル局は勤務を無理してまで独自企画をしなくなる(というより、できない)。結果として、ローカル局報道の存在意義は“ニュース取材のみ”に収斂」といった、テレビはエンタメから報道やライブコンテンツにシフトするとの回答もあった。
さらに「ICTを駆使したミニマル制作方法」が求められ、「インターネット放送を参考にし、取り入れる発想の大転換が迫られるかもしれない」ようだ。ネットの活用は、番組の制作手法そのものを大きく変える可能性がある。
一気に現実味を帯びる「業界再編」
そして経営面の苦境が続きそうなことから、業界全体の変化を予感する回答もあった。「大不況になった場合は、大幅な売り上げ減が長期間続くことになり、放送局の合併、経営統合、最悪の場合は廃局といった大規模な業界再編という地殻変動が起こることは避けられない」という再編予測。
加えて、「テレビCMの出稿離れが進むとローカル局の再編話が一気に進むかもしれない。キー局の機能をある程度、地方に分散しないと番組制作や営業セールス含めて今回の新型コロナのような事態や首都直下地震に対処できない」とのネットワークのあり方への意見、さらには「民放のみならずNHKも含めた業界再編と事業再構築を覚悟しなければならない時期なのではないか」といった、NHKも含めた再編論も飛び出した。
もし企業の不振が続いてテレビへの広告出稿が元に戻らなければ、十分考えられる意見ばかりだ。もともと業界再編の議論は起こっていたところなので、コロナ禍が時計を早めてしまうのかもしれない。
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