では、自然減であるにもかかわらず、なぜ東京の人口が増えているのでしょう? それは、人口増減に影響するもう1つの要因である人口移動によります。東京含む首都圏だけが人口増になっているということは、それ以外の地域から人々が転入してきているからです。
各都道府県別に年齢別の転入超過一覧を見ると衝撃的です。全国で転入超過の都道府県は、東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県以外には、愛知・大阪・福岡のみ。たった7都府県しか転入超過になっていないのです。その中で、東京だけが群を抜いて高いのがおわかりいただけると思います。
しかも、年代の偏りにも注目したいと思います。東京の転入超過総数の93%が20代で占められています。東京ですら、35歳以上は、転出超過です。東京の転入増実現は、こうした20代のほぼ未婚の若者たちによるものです。
東京は高収入を得られる可能性が高い
若者が移動する最大の理由は仕事です。東京に集中するのは、その他のエリアと比べて就職先の絶対量が大きいことと高収入を得られる可能性が高いからです。「金がないから結婚できない」と嘆く人の大誤解という記事に、都道府県別アラサー男性の平均年収のランキングを掲載していますが、未既婚かかわらず東京の年収がトップで、最下位の沖縄と比べると1.7倍以上の開きがあります。全国平均より20%以上も高い年収を誇るのは、全国で唯一東京だけです。
未婚の若者が職を求めて東京に集中すれば、副次的な効果も生まれます。それが、結婚数の増加です。実は、結婚も東京に集中しています。確かに、東京は50歳時未婚率が高い(男性3位、女性1位)ので勘違いしている人が多いですが、それはあくまで45~54歳の中年男女の未婚比率が高いということであり、平均初婚年齢の30歳前後の東京の未婚率は、全国平均とあまり変わりません。何より、東京の人口千対の婚姻率は全国一高いことをご存じでしょうか。しかも 2000年にトップに君臨して以来ずっと1位をキープしています。2018年実績では、人口千対婚姻率6.0以上なのは唯一東京だけになりました。
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