20代独身の若者たちが東京に集まり続ける理由 このままでは地方の町が消えてしまう恐れも

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婚姻が多いということは、それだけ出生数も多くなります。いや、しかし、東京の合計特殊出生率は全国最下位ではないか?というご指摘もあるでしょう。確かにその通りです。2018年実績で言えば、全国平均1.42に対して、東京のそれは1.20であり、1970年代からずっと連続で最下位です。

しかし、この合計特殊出生率の分母は、15~49歳の未婚の女性も含みます。前述した通り、東京は、全国各地から未婚若年層をたくさん集積するエリアです。東京の合計特殊出生率が低くなってしまうのは、この若年女性の転入が多いことによります。その証拠に、人口千対の出生率は8.0(2018年)で全国7位と上位に位置します。合計特殊出生率の数字だけを見て、東京の出生が少ないとは言えないのです。

それどころか、今後も未婚若年層の東京集中は続きますから、率ではなく、絶対数で考えれば、人口だけではなく、結婚数や出生数も東京に集中することになります。それは、婚姻や離婚、出生の数の東京の占有率と人口の占有率との推移を比べたグラフを見ると明らかです。

1980年頃から、東京の婚姻占有率や離婚占有率は全国と比べて高いものでした。要するに、結婚も多いが、その分離婚も多かったわけです。それが2000年以降、婚姻占有率はどんどん上昇した反面、離婚占有率は全国平均同等にまで下がりました。結婚が多く、離婚が少ない、いわゆる「結婚持続率」が高まったということです。それに連動して、かつて圧倒的に低かった東京の出生数占有率も、2013年頃についに全国を逆転します。このデータからも、東京は結婚と出産の多いエリアに近年変貌したと言えます。

婚姻率・出生率ともに全国最下位の秋田

東京とは反対に、婚姻率と出生率ともに全国最下位を継続している秋田は、20代の転入超過率(2018年人口対比)もマイナスで全国最下位です。47都道府県すべての20代の転入超過率と婚姻率の相関を見ると、若者の転入が多ければ多いほど婚姻率は高まるという強い正の相関があることがわかりました。つまり、結婚と出生に影響を与えるのは若者がどれだけ転入してくるかであり、若者が外に出ていくエリアは自動的に結婚も出生も少なくなることを意味します。

かといって、地方の未婚の若者全員が都会へ移動するわけではありません。地元を愛し、地方でそのまま生活をする若者もいるでしょう。しかし、それは長期的には、都会と地方との所得格差を広げ、都会と地方との婚姻率や出生率の差となって表れます。未婚問題はかつて都会の問題といわれていましたが、今後は明らかに地方の未婚問題のほうが深刻になります。「職住」の問題は、「婚産」の問題と直結しているのです。

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