「若者の〇○離れ」という言葉、よく耳にされることと思います。
「若者のクルマ離れ」「若者のテレビ離れ」「若者のファッション離れ」「若者のお酒離れ」などなど、まるでありとあらゆるものから若者が離れているかのようにおもしろおかしくニュースで取り上げられたりもします。
はては、未婚問題や少子化が話題に上がるたびに、「若者の恋愛離れ」「若者のセックス離れ」「若者の結婚離れ」などと騒ぎ立て、お決まりの「イマドキの若いモンは……」と結びつけたがる大人もいます。しかし、冷静にデータを見れば、「若者の〇〇離れ」と言われるものの大部分は、事実と反する偏見と誤解による思い込みであることがわかります。
例えば、「若者のお酒離れ」と言われているものも、年代別飲酒量データをコーホート分析してみれば、そもそもいつの時代も若者のうちは飲酒量はそれほど多くはなく、世間のお酒販売量が落ちているのは、むしろ50代以上のおじさんたちの飲酒量が激減したことによります(「飲酒量が多いほど」生涯未婚率が高まる事情参照)。
いつの時代も恋人がいるのは3割程度
「若者の恋愛離れ」「若者のセックス離れ」についても同様です。最近の若者は「恋愛離れ・草食化」という大誤解という記事でもご紹介したように、1982年以降の出生動向基本調査による長期推移を見ると、婚約者・恋人がいる率はおおむね男性20%台、女性30%台で推移しており、若者の「恋人がいる率」は3割前後で変わりません。
そもそも、いつの時代も彼女や彼氏のいる率というのは大体3割程度です。長年の独身研究において、これこそが、日本の未婚化原因のひとつであると私はとらえ、「恋愛強者3割の法則」と名付け、当連載でも何度もご紹介してきました。
若者、とくに男性の草食男子化という言われ方もされます。ちなみに、「草食男子」という言葉は、コラムニストの深沢真紀さんによって命名されたと言われており、2009年に流行語大賞にまでなりました。だとすると、2009年以前の若者は「肉食男子」だったのでしょうか?
1987年からの年齢別での童貞率・処女率の推移をグラフにしてみました。
これを見ると、どうやら男女とも2005年に若者の性体験率がピークを迎え、その後、各年代揃って草食化しているように見えます。しかし、それ以前の90年代、80年代までさかのぼれば、むしろ2005年の数字の方が異常値であって、現在は通常の状態に戻りつつあると解釈するのが妥当ではないかと思います。
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