20代独身の若者たちが東京に集まり続ける理由 このままでは地方の町が消えてしまう恐れも

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もちろん、東京一極集中が加速することでのリスクはあります。今回のコロナのような感染症や地震などの大災害が発生した際、人口集中がゆえに被害が甚大になってしまう危険性については、別途真剣に検討すべきです。

とはいえ、「リモートワークが可能になれば、地方移住も促進されるはず」「人口密度の高い都市型生活より、大自然の中で心豊かに生活したほうが充実するはず」という意見は、こと未婚の若者に関していえばまったく響かないものではないかと思います。

若者は人と出会うために都会に繰り出す

彼らは、仕事を求めて移動しますが、仕事があれば無人島でもいいというわけではありません。仕事が多くある場所とは、多くの人が集まる場所でもあります。彼らが都会に出てくるもう1つの理由は、人と出会うためでもあります。テクノロジーの発達によって、物理的に集まる必要のない環境が整ったとしても、今度はそれでは、若者同士の出会いがなくなります。人の多く集まるところで仕事や交流をし、多くの人たちと出会うことによって、若者は結婚し、子供を産み育てることになるのです。言ってしまえば、人のいない所に彼らは行きたくはないのです。

いずれにせよ、今後数十年にわたり、少産多死時代が続きます。人口減少は不可避です。地方に目を向ければ、全国1741市区町村の中で、2015年から2045年にかけて、人口100万都市の割合はほぼ変わらないのに対し、人口1万人未満の割合は、2015年の28%から、2045年には40%を超えます(社人研将来人口推計より)。人の死だけではなく、町の多死化時代がやってきます。私たちはこれから多くの町の死を目の当たりにするでしょう。そうした現実を前提とすれば、もはや人口を振り分けるという次元の問題ではなく、「町の終活」という視点も必要になるのかもしれません。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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