24歳でプロ野球をクビになった男が説く転身術 アスリートが優秀ビジネスマンになるために

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2012年のトライアウトで最後のスイング(写真:筆者提供)

「はい。昔、プロ野球にいました。まぁでも、6年でクビになりましてね」

このセリフを、何回言っただろう。私が元プロ野球選手であるということを相手が知った際、定型文のように口から出るセリフである。

「そうですか。やっぱり、厳しい世界ですねぇ」

このセリフも、何回聞いただろう。気を使っていいものかどうかわからず、ひとまずこのセリフに行き着く。プロ野球選手に限らず、「元プロ◯◯」という職業の人は、少なからずこの会話を経験したことがあるはずだ。そして私はこの会話をするたびに思うことがある。

(……厳しい世界? 厳しくない世界があるのか? あるなら、ぜひ教えてほしい……)

プロの世界に厳しくない世界はない

プロの世界に、厳しくない世界はない。真剣勝負の世界は、いつの時代も厳しい。厳しいと言ってもそれは客観的な世界であって、中にいる本人たちは厳しいということすら感じていない。生きるか死ぬかの真剣勝負の繰り返し。勝てば生き残り、負ければクビになる。ただそれだけの世界だが、連綿と続く勝負の中ではいつの間にか勝ち負けという概念すら薄れ、ただただそこに居続けることになる。

その居心地が悪くなった人から順番に、「ここに居てはいけない」という宣告をされる。これが、勝負の世界に流れている不文律だ。これを“厳しい”と感じたことはない。むしろ、ホンモノだけが残るシステムに美しささえ感じる。クビになったことがデカデカと公になることは確かに特殊かもしれないが、決して厳しくはない。プロの世界とは、そういう世界である。

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“厳しい”のは、むしろ引退した後だ。プロアスリートの引退後のキャリアが徐々に注目され、”セカンドキャリア”という言葉も随分と市民権を得てきたように感じる。今回の短期集中連載「プロ野球『戦力外』のその先」では、3人の方々に登場していただき、その実態に迫った。

連載最後となる第5回は、私自身の体験を元にセカンドキャリアを考えていきたい。そしてこれは、現役アスリートに向けたメッセージである。現役アスリートで、将来を約束されたスーパースターでなければ、必ず通る道である。もちろん彼らには現役中は、競技に全力で集中してもらいたいと思う。ただ、引退後の未来に不安を抱えながら今に集中するというのは難しい。かと言って、引退後の不安を完全に取り去ることは不可能である。

不安はつねに未来からやってくる。自分ではコントロールできないことを憂う気持ちが、不安を発生させる主な原料になる。知ることで、今をコントロールできる材料が増えることもある。それは結果的に競技への集中力を上げるだろう。そんな思いで、主に現役アスリートに向けて書かせていただきたい。大切なことは4つある。そのことを、私自身の体験を基にお伝えしていこう。

次ページ24歳でクビになった直後に私が取り掛かったこと
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