30歳、プロ野球を3度クビになった男の波乱曲折 引退の中後悠平、横浜DeNAで始める次の人生
一人の社会人として新たなスタートを切る中後悠平
待ち合わせたのは横須賀中央駅。年末恒例となったこの取材も4回目となった。ただ今回はちょっと事情が違う。彼はもう、プロ野球選手ではない。一人の社会人として新たな人生を歩みだそうとしていた。
「お待たせしました! 実はさっきまでパソコン教室に行ってきたんですよ」
聞けばこの日が受講初日だという。今後の仕事のために自主的に通うことにした。
「もう基礎中の基礎からですよ。パソコンのボタンの名前とか、部品の名前とか。エクセルやワードやパワーポイントとか、聞いたことがあるだけで触ったことなかったですから。自分で決めたのに、今日のパソコン教室でさえ行くのが憂鬱だったんですよ(苦笑)。でも、百八十度違う人生を歩むんだから、パソコンくらい出来なきゃいけませんからね」
現役引退を発表してから約1カ月。改めてどんな心境なのだろうか。
「まだモヤっとしていますよ。すっきりしたことはないし、後悔がないとかありえない。ずっと限界まで野球をやりたいと思っていたし、まだプロ野球選手でいられる話が目の前にあったら100パーセント飛びついてます。それが自分の力のなさで叶わなかったわけですから」
現役続行を望むのであれば、トライアウトを受けるという選択肢もあったはず。だが中後が今年受験しなかったのには訳があった。
「横浜のファームで最も多く投げさせてもらって防御率が良くて、ある程度いいところでずっと投げさせてもらっていたので、イースタン中心に見ている人は見てくれているはずなので、これでダメなら仕方ないって思って」