24歳でプロ野球をクビになった男が説く転身術 アスリートが優秀ビジネスマンになるために

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しかし、営業職は簡単な仕事ではない。最初は自らも新鮮で、顧客もそれに応えるように順調に成果が出る。しかし、それだけでビジネスが成り立つほど世の中は甘くない。本質的なサービスによって顧客が満足して初めて、長期的に利益を創出できる。やり始めて3カ月もすると、実力が現れて成果が出なくなる。

必死に頑張っても成果が出ないうえに、刺激も少ない(場合によっては給料も少ない)。そんな頃、体と脳に変化が出始める。もっと強い刺激、もっと強い肉体への負荷を無意識に求め始める。悶々とする日々の中、成果の出ない仕事に疲れて家に帰りテレビをつけると、そこには昨年まで一緒にプレーをしていた元同僚が、5万人の前でプレーをしている。そこで、未練が復活し始める。

「俺だって、ホントはあそこでまだプレーしたかった。なんで俺は今、こんなことやってるんだ」

不調和の中で「頑張ってね」と言われるつらさ

悶々とした日々は続く。成果の出ない仕事に行くと、営業先で「へ〜、去年までプロだったんだ。やっぱり、プロの世界は厳しいね〜。これから大変だと思うけど、頑張ってね」と言われる。頑張っても成果が出ない、頑張り方すらわからない、そして、体と脳の間で明らかな不調和が起きている、そんなさまざまな感情が渦巻いているときの「頑張ってね」ほどつらい言葉はない。

知人に相談しようにも、自身が競技をやめたことや、今何をやっているのかを知っている人はほとんどいない。今さら連絡しようにも、これまでの経緯を説明するのもおっくうなうえ、なんとなく気まずくて連絡もできない。この辺りで、会社を辞めることを決める。最初に入った会社を辞めてしまうことで、「やはり俺は社会に向いていない」というレッテルを自分に貼ってしまう。このことが、セカンドキャリアに踏み出す勇気を根こそぎ奪ってしまう。こうなっては、次の一歩は困難なものとなる。

これらを防ぐのが、「感謝」「2年分のキャッシュ」「未練なし」「心身の変化に備える」ということである。2年分のキャッシュは、心に大きなゆとりを生み出す。ゆっくりと次の道を探している間に、心と体の“リハビリ”をして、世の中の流れを把握し、自分の体が刺激を求めなくなってからでも、まったく遅くはない。

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