24歳でプロ野球をクビになった男が説く転身術 アスリートが優秀ビジネスマンになるために

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プロアスリートが社会で活躍するうえで圧倒的なアドバンテージとなるのは、なんといってもまずは体力。普通の社会人と比べて、仕事に取り組める物理的な時間や体力が圧倒的に豊富だ。そして、やり抜く力、集中力の持続力、周囲と連携する力、結果へのコミット力、数字と向き合える心のタフさなど、優秀なビジネスマンになるうえで求められる能力のほとんどは、すでに持っている。

パソコンを使う技術や、ビジネスマナー、専門知識などは言ってみればスキル。それは時間とともに慣れ、自然に覚える。前述したような能力は、ある程度長い時間の蓄積が必要なうえに、普遍的な能力なので、ものすごく貴重なうえに需要がある。アスリートからビジネスマンへの接続”さえ”うまくいけば、うまくいかない要素を見つけることが困難になるくらい、アスリートはビジネスマン向きである。

元アスリートの活躍が現役世代の支えになる

ただ、アスリートからビジネスマンへの転換の仕方が今までほとんど情報として流通しなかった。真のセカンドキャリアのサポートとは、これを読んでいる現役アスリート自身がセカンドキャリアを成功させ、現役アスリートの希望になることだ。元アスリートがビジネスの世界で力を発揮しマーケットでの需要が高まると、現役アスリートはより現役時代に集中できる。それはそのまま、引退後の未練を少なくすることを助ける(そして、給料が増えて2年分のキャッシュも生み出せるかもしれない)。

この連載を通して、現役アスリートのみならず、読者の方々の中から何人かが何かを感じ取り、明日からの行動に変化が起きたなら、役割を全うしたと言える。依然、アスリートのセカンドキャリアには問題は山積みだが、希望もある。連載第2回で登場した奥村武博氏のように公認会計士になる人や、経営者となり活躍する人など、現役時代の成績にかかわらず社会に出て活躍する人は確実に増えている。私自身も、現役アスリートの希望となれるように、さまざまな情報を発信し続けていきたい。

高森 勇旗 元プロ野球選手

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たかもり ゆうき / Yuki Takamori

1988年生まれ。富山県高岡市出身。中京高校から2006年横浜ベイスターズに高校生ドラフト4位で入団。田中将大、坂本勇人、梶谷隆幸らと同学年。2012年戦力外通告を受けて引退。ライター、アナリスト、マネジメントコーチなど引退後の仕事は多岐にわたる。

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