61.9%―――。
この数字が何を表しているかわかるだろうか。
これは2018年、プロ野球の若手選手を中心に開催されるみやざきフェニックス・リーグに参加したNPB(日本プロ野球)全12球団に所属している252人を対象にしたアンケートにおいて、「引退後の生活に不安を持っているか?」の質問に、「不安がある」と回答した人数の割合である。
アンケートに答えた選手の平均年齢は23.5歳で、平均在籍年数は3.6年、2018年時点での平均年俸は887.6万円で中央値は700万円である。不安の内訳の1位は収入面で73.7%、2位が進路面で67.9%、3位が野球を離れることによるやりがいの喪失で8.3%だ(複数回答可)。
プロアスリートにとって、現役選手でいられる期間は短い。プロ野球選手の平均在籍期間は9年で、引退時の平均年齢は29歳。大卒の社会人であれば7年目に入り、いよいよ本格的に会社の中で戦力になろうかという時期である。同じとき、プロ野球選手は戦力外という通告を受けるのだ。
しかし、そのこと自体は大きな問題ではない。プロの世界に入った時点で、いつクビになってもいいという覚悟は決まっているうえに、プロとはそういう世界である。問題なのは、幼少期から20年以上にわたり競技に人生のすべてを懸けてきた若者にとって、競技以外の世界が彼らにとって未知すぎることである。
今回は5回の連載を通して、プロアスリートの引退後の人生、一般的に言う”セカンドキャリア”における現状と課題を読み解いていこう。
プロ野球選手会事務局の仕事とは
「引退した選手の約50%は、そのまま球団職員として球団に残ります。15〜20%が独立リーグ、海外も含めてNPB以外で現役を続け、それ以外の約30%が一般企業に就職したり、自分で起業したりと、野球以外の道に進んでいきます」
こう語ってくれたのは、日本プロ野球選手会事務局長の森忠仁氏だ。日本プロ野球選手会とは、プロ野球選手にとっての労働組合のような機関で、選手が球団との間に不当な契約が生じないように動いたり、選手の労働環境に関しての問題を解決したりする組織である。ここは、プロ野球選手の引退後の人生に関しても、課題の1つとして長年取り組んでいる。
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