CMOはチーフ・マーケティング・オフィサー、つまり最高マーケティング責任者、CTOはチーフ・テクノロジー・オフィサー、つまり最高技術責任者。こうした役職は、日本でもおなじみになってきました。それでは「CHO/CHRO」はどうでしょうか? 正解は、チーフ・ヒューマンリソース・オフィサー、すなわち、最高人事責任者です。経営戦略と一体となった人事戦略の推進者をこう称する企業が増えてきています。
人事の仕事とは、「人材を活用して組織を発展させること」で、どんな時代になっても変動因子が最も多い「人」が相手の仕事です。売り上げのような直接的な数値目標はないため、業務への貢献度も測りにくい職務かもしれません。だからこそなのか、最近、人事の仕事を受け持つ役職にユニークで面白い名前が目立つようになってきました。
CHOのもう1つの肩書は?
前述のCHOには、実はもう1つ肩書があります。チーフ・ハピネス・オフィサー、その名のとおり企業の「幸福」をマネジメントする役員のことです。社員の働きがいを引き出したり、心身の健康を細かく観察したりするためのさまざまな取り組みを行います。グーグルなどシリコンバレーの企業で10年ほど前から、チーフ・ハピネス・オフィサー職を設ける動きが広がってきました。
幸福とまでいうと大げさな感じもしますが、社員が心身ともに健康で前向きに仕事に取り組み、気持ちよく働いてくれると、生産性向上にもつながり、また離職防止にも効果が期待できることが科学的にも証明されてきており、社員の幸せを引き出すというゴールを役職名としているのです。
働き方改革の旗振りの中、日本でもチーフ・ハピネス・オフィサーを取り入れたケースもポツポツ出てきました。個人の時間を大切にする傾向のあるフランスでは、すでに150社が取り入れているそうです。社員を幸せにすることが任務の仕事というのはワクワクする気持ちになります。
一方、筆者が以前働いていたセールスフォース・ドットコムでは、人事部門は「エンプロイー・サクセス(Employee Success)」と呼ばれていました。企業の目的は「カスタマー・サクセス」ですが、それを支えているのは社員であり、その社員の成功を支援するのが人事部門のゴールだという意味でつけられたものでした。
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