学生も企業も対等な立場
「僕の周りには、行く気のない企業に『第一志望群です』とウソをつき、保険として内定を持つ友人がいます」。議論の口火を切ったのは、金融や不動産の仕事に関心を持つ早稲田大学4年の蓬田崚さん(22)だ。蓬田さんは、こんなモヤモヤを打ち明ける。「理解はできますが、企業によく思われるために自分を偽るのは気が引けます」というのだ。
【回答】ウソは不要。企業も学生も、対等に選ぶ立場という気持ちで
増本:そもそもウソをつかなければならないという発想は、「企業は選ぶ立場、学生は選ばれる立場」という考えに基づいている。しかし学生もまた企業を選ぶ立場なので、本来は対等だという気持ちで臨んでほしい。ウソは不要だ。
面接をする人事担当者や社員も、かつて就活を経験したわけで、学生の温度感はわかっている。例えば食品メーカーの面接で、第一志望だと主張する学生がいたとする。ほかに受けている企業を聞き、志望理由の一貫性もなく金融ばかりなら、面接担当者は腹落ちしない。
企業は第一志望と回答されたいのではなく、選択軸と働く意欲を見たいのが本音だ。自社にそれほど興味を示していない学生でも、話を聞いてその人を採用したいと思えば、熱心に説得するだろう。だからこそ、学生もおべっかを使わずにフラットでいてよい。