2つ目は「あなたは何者なのか」だ。企業にとって新卒採用は、数年後を見据えた投資。そのため、大学名など表面的な情報からはわからない今後のポテンシャルを見極めようとしている。ここで聞きたいこともシンプル。「これまでの人生で、何を困難と感じ、それをどうやって乗り越えてきた人なのか」だ。
ESや面接の場では、「頑張ったことは何か」という質問で聞かれることが多く、学生は耳当たりのよさそうなエピソードを持ち出しがちだ。
例えば、短期留学。海外経験があることだけをアピールしてしまうと、「人生の頑張りは、その1カ月だけに集約されているの?」と浅はかな印象を与えてしまう。もちろん事象が短期留学であってもよい。しかし、「何を目的に外国で学び、なぜその国を選び、実際に現地で経験してどう考えたか」まで説明できないと、こだわって行動した結果だと見えてこない。大事なのは、やり遂げるまでのプロセスを言語化できることだ。題材となるエピソードの派手さは関係ない。
ESの枠は大体1~3分で話せるくらいの分量しかなく、自分のことを端的に語るのはなかなか難しい。就活のためだけでなく、社会に出たあとにも必要なスキルのため、今から腕を磨いておいて損はないだろう。
将来の描き方は「いかだ下り型」もある
中学を南米のアメリカンスクールで過ごすなど、国際経験豊富な都内私大4年の女子学生Bさん(21)は、こう胸の内を明かす。「私は総合商社や、サービス業の仕事に興味がありますが、具体的に何をやりたいか定まってはいません。就活の時点で、どこまで具体的なキャリアビジョンを描いておくべきでしょうか」
【回答】不利ではない。目の前のことをがんばるキャリアに自信を
大家:明確な夢や目標を持っている学生のほうが就活では企業から評価される、と考える学生は意外と多い。しかし、それは誤解だ。キャリアの考え方は「山登り型」と「いかだ下り型」の2パターンがある。