ただし、最低限なぜその会社を受けたのか? どこまで調べているのか? は伝えてほしい。仮に第一志望でなくても、その場に足を運んだ理由が何かしらあるはずだ。興味や疑問に思ったことについて、教えてもらうスタンスで臨めば、ウソをつくコミュニケーションにはならないだろう。
次に口を開いたのは、アメリカに1年間留学し、現地で2カ月のインターンシップも経験した都内私大4年生の男子学生Aさんだ。
「ずばりESはどれくらい意味があるのか疑問です。企業によっては何千・何万の応募が集まる。時間をかけて書いたところで、熱意は伝わるのでしょうか」
ESでも面接でも、聞かれていることは2つだけ
【回答】両極端に分かれる。ただし、面接を見据えてESを作り込むべき
大家:正直に言えば、穴が開くほど見ている会社と、そうでない会社の両極端に分かれる。ただ、ESをあまり読まない会社が、その事実を自ら明かすことはないため、学生が見極めるのはまず不可能だ。
ここで、どうせ読まれやしないと、さじを投げるのは早い。実は、ESも面接も手法が違うだけで、企業が知りたいことは2つだけ。であれば、後に続く面接対策を考えても、ESの段階で、内容を作り込む意味はある。
企業が知りたい1つ目のポイントは「あなたはなぜ当社に来たいのか」だ。もっとかみ砕くと、働く場を選ぶうえで「あなたの選択軸は何で、なぜうちを選んだのか」を聞いている。第一志望かどうかや、自社の商品・サービスが好きかどうかは、それほど気にしていない。
学生はまず自分なりの基準を決めてみることだ。「海外で仕事するチャンスが多そう」「若くから裁量権を与えられそう」など、どんなことでもよい。その軸をもとに、いくつかの企業を比較検討してみるとよい面も悪い面も違いが浮かびあがってくる。
こうした意思を持った自分なりの分析が、ほかにはない独自の志望動機につながるのだ。企業のウェブサイトで調べたビジョンを丸暗記して「共感しているから」と言っても説得力は弱いだろう。