「価値観に沿った行動を取れていると、人は自然と夢中になれます。そこで、5分間の個人ワークで、自分の価値観を探索しましょう」
講師の坂本章紀氏の指導のもと、もうすぐ入社から1年が経過しようとしている社員10人が机に向かって書き始める――。ブラザー工業の完全子会社で、通信カラオケ「JOYSOUND」などを手がけるエクシングが3月に行った社員研修の光景だ。社員たちは、内定前や入社後の4~5月、10月に続き、今回のフォローアップ研修を受けていた。
「以前からこのような新人研修制度にしていたわけではない。4年前に一新した」と、エクシングの池畠英治本社管理部人事グループ長は語る。
近年、同社のように、新人研修制度にテコ入れする企業が増えている。年間17000人の新入社員研修を手がけるファーストキャリアの瀬戸口航社長も、「新人研修を充実させたいという企業からの引き合いは増えている」という。
離職防止のために新人研修をテコ入れ
なぜ、新人研修制度を見直す企業が増えているのか。最大の理由は、「研修制度を整備しないと、新入社員が辞めてしまうから」だ。
新入社員が、仕事をするうえで、最も強く意識していることは、「自己成長」だ。人材教育・研修コンサルティング会社のヒップスターゲートが、昨年の新社会人1672人に行った調査によると、「社会人になって期待していること」で、最も多かったのは、「自己成長ができる」(31.8%)こと。「さまざまな人との出会い」(27.5%)や「経済的に自立できる」(19.3%)などを上回った。
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