山登り型は将来やりたいことや、なりたいものが明確に定まっていて、ゴールのある頂上を目がけて歩みを進めるキャリアの考え方だ。一方で川下り型は、流れに身を任せながらもその場その場で最大限の力を発揮し、自分の向かう先を見つけていくキャリア。おそらく9割の社会人が後者の「いかだ下り型」だと私は考えている。
だから企業にとって、志望する学生が山登り型か、いかだ下り型かは問題ではない。ただし、共通しているのは「めちゃくちゃ頑張る瞬間」がないと、ゴールにはたどり着けないということ。
そのため企業は選考時に「この学生はなぜ、何をモチベーションに頑張れるのか」「頑張る幅を広げるために、今後どういう力を付けたくて企業・仕事を選ぼうとしているのか」を知りたいのだ。これは、前述したESや面接で「あなたは何者なのか」が問われる理由にもつながる。
増本:やりたいことは何か、に悩む学生には「Do(「何をやりたいか」)よりも、Be(「どうありたいか」「どうなりたいか」)を大事にしてほしい。例えば、10年後の自分に会えるとしたら、どんな大人になっていてほしいか。そんな大人になるための手法がDoであり、Doをどこでどうやって始めるかを決めるのが企業・職業選びだと思う。
一括採用という今の就活システムは必要なのか
「会社がつぶれても自力で食べていけるようになりたい」という思いから、人材やコンサルティング業界を志望する早稲田大学4年生の日盛将真さん(22)は、就活のあり方について切り込む。
「日本の就活は画一的で息苦しく感じます。インターンシップを経て、一斉に説明会や面接が始まり、決まった時期に内定を取る。皆が同じレールに乗らなければならない一括採用は、本当に必要なのでしょうか?」
なぜ新卒一括採用が日本で成立してきたのか。世界の中で希有な仕組みであり、大学生が同じ期間に一斉に就活を始める様子を、「異様」とする見方はあって当然だろう。