グローバル化が進む中、親たちは、子供を世界で通用するエリートに育てるため、日々、努力を重ねている。しかし、若手マザーの中には、子育ての仕方がわからず、周りの助言にも恵まれないケースも多い。そこで、一般的な家庭ながら、子供を国際弁護士、国際金融マン、海外著名大学教員、公認会計士に育て上げた著者が、読者の皆様からの子育て相談に回答する。
今回は、「わき目も振らず勉強して一流大学には合格したものの、受験勉強しかしてこなかった人は、伸びきったゴム状態に陥りやすい。平素より芸術に親しむ環境が、家庭教育ではとても重要だ」と指摘してくださった寄稿文を取り上げます。
【東京大学大学院 Gさんの寄稿文】
伸びきったゴムにならないために
私は幼少期から、一流の芸術に触れる機会を多く与えてもらいました。両親ともに音楽関係の仕事だったこともあり、幼いながらによい音楽に囲まれていた実感はあります。小学校から大学までの一貫校に通っていたので、受験勉強に追われることもなく、「勉強しろ」と言われたことも一度もありません。高校まではエスカレーター式で進みました。
幼少期から一貫していたわが家の教育方針は、「子供の自主性に任せる」というものでした。そのような環境でしたので、放っておいてもやる子はやる、という実感です。子供の自主性に任せ、道を踏み外しそうになったときにそっと元に戻してあげるような教育方針が、いちばん効果的だと思います。
無理に勉強を詰め込ませたところで、伸びない子は伸びない。仮に大学受験だけは根性で乗り切ったとしても、そのあとが伸びきったゴムのようになってしまうだけだと思うのです。
<グローバルエリートからのコメント>
教育は親から子へのプレゼント
幼児より一流の芸術に触れさせるうんぬんだが、これを言う人はけっこう多い。しかし、よく伝統芸能やオーケストラ、博物館に連れていってもらった私の場合は、楽しかったり、うれしかった記憶がほとんどない。いつも単に寝ていただけで、完全にチケット代の無駄であった。
あと姉弟が全員、ピアノ教室に通うことを強制されていたが、なんとこれに至っては「ピアノ学習が法律で義務なのでしかたない」とウソをつかれていたのだ。小学校3年頃、友人がピアノを習ってないことに気づき母を問い詰めると、「法律が変わった」とかなんとか言い逃れられて……私は即刻、ピアノを辞めたのであった。
嫌々ながらする習い事だったので上達が早いわけはなく、「ブルグミュラー」を終えるのに5年以上かかった。「ライオン行進曲」を学芸会で弾いたり、卒業式に「はばたけ鳥を」の伴奏をするくらいはできたが、トルコ行進曲あたりからは完全に挫折である。
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