親子の絆は、親の経済力で決まるのか? 人を恨めば、自分の成長が止まり人生が悪循環

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グローバル化が進む中、親たちは、子供を世界で通用するエリートに育てるため、日々、努力を重ねている。しかし、若手マザーの中には、子育ての仕方がわからず、周りの助言にも恵まれないケースも多い。そこで、一般的な家庭ながら、子供を国際弁護士、国際金融マン、海外著名大学教員、公認会計士に育て上げた著者が、読者の皆様からの子育て相談に回答する。
ミセス・パンプキンの子供である「グローバルエリートは見た!」著者・ムーギー・キム氏の新著が大いに売れていて、ミセスパンプキンの自宅の近くの本屋さんでも大人気だと言う(写真はミセス・パンプキン撮影)。

今回は先の当コラム「子育ては案ずるより産むがやすし」に対して寄せてくださった異議について、考えてみたいと思います。

【ミセス・パンプキンへの子育て相談】田中美香さん(仮名)のケース
 残念ですが、現在の日本で、経済的な見通しなしに子供を持つことは勧められません。私は兄、私(女)、妹の3人兄妹ですが、両親(大学に行っていない)は子供の進学費用を考えていなかったらしく、兄は新聞奨学生(のち挫折、大学中退)、私は地元国立大に授業料免除と奨学金で進学し、妹も国立短大に授業料免除と奨学金で進学しました。
 ここまででみると、私と妹はなんとかなっているように見えますが、現在、3人とも平均的な収入は得ておらず(妹は専業主婦)、子供がいるのは兄だけで、そして何より、兄妹3人とも実家の両親と疎遠です。
 私も大学進学時、十分なことをしてもらえなかったという思いが拭えません。卒業した地方国立大学は私の実力よりかなり下で、塾にも行かず合格しました。その後、自力で進学した大学院試験、入社試験はトップの成績で、入社後も技術系の最難関専門資格を最短年数で取得しました。でも、出身大学は変えられないんですよね。私が部下でもその大学出身の上司だったら嫌ですし。
 その後、自力で留学もしましたし、苦労した分、実力はついたと思いますが、親への感謝の気持ちは持てません。それは、「両親そろっているのに、なんで奨学金や授業料免除をもらっているの?」という友人の質問に答えられなかったからであり、 留学して他大学の修士号をとっても最初の出身大学は変えられないからであり、両親が私の希望を通すために一生懸命にはなってくれなかった(むしろ足を引っ張られた。親戚に援助を頼んだが止められた)からです。
 逆に奨学金や授業料免除という国の制度、採用してくれた会社にはたいへん感謝しています。欧州の大学に留学しましたが、学費は外国人でも無料に近く(年間9万円程度)、その国にも感謝しています。
 うちの母親も子育てを楽しんでいたと思いますよ。学費のことも考えず専業主婦をしながら。そして彼女は今、娘が2人とも子供を産まないという罰を受けています。両親の経済力によって進学が左右されるうえ、両親への盲目的な感謝を強要するような前近代的社会は大嫌いです。

 

<ミセス・パンプキンからのコメント>

貴重な心の内を聞かせてくださり、ありがとうございました。

確かに私はあのコラムで、保険会社などが算出する「子供1人が大学を卒業するまでに要する金額は2000万円」などという数字に惑わされないで、と書きました。わが家の子供は4人ですから、8000万円を用意して育てたかと聞かれればノーだからです。

奨学金や授業料免除のシステムは、それを受けて学ぶ学生が少なくないことを示していますし、御相談者様のようにアルバイトをしながら、親の援助を受けず大学を卒業した感心な人たちを、私はたくさん知っています。「何とかなる」の中にはそれらのケースも含みます。それが必ずしも親子にとって不幸なケースだとは、私は思っていません。

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