学歴がなくても、世界で活躍する人の真実 伊藤穰一×波頭亮 (上)

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なぜ、日本企業や日本人は、グローバルな舞台で苦戦を強いられるのか。なぜ、日本からアップルやGoogle、Facebookのような世界を席巻するベンチャーが生まれないのか。今回は、この問いについて考えてみたいと思う。
ゲストは、日本におけるインターネットの普及に絶大な影響を及ぼした伊藤穰一氏(親しみを込めて、Joiと呼ばせていただく)である。デジタルガレージ、ネオテニー、クリエイティブ・コモンズ等々、次々と活動の場を広げていったJoiは、日本という枠組みを超え、インターネットというオープンな文化、そして世界というフィールドに活躍の場を見いだしている。
そのJoiが、MITメディアラボの所長に就任し、今再び日本に目を向け始めている。彼の目から見た日本、日本企業、日本人はどう映っているのか。また、自身の経験と照らし合わせて、グローバルな舞台に出ていくというのはどういうことなのか。日本の次代を担う若者にぜひ耳を傾けてもらいたい。
写真右がコンサルタントの波頭亮氏、同左がMITメディアラボ所長の伊藤穰一氏

日本からグローバル企業が出にくい理由

波頭亮(以下、波頭) トヨタ、ソニー以降、グローバルな舞台で市場を席巻するような活躍を見せる日本企業が出て来ていない。また、既存の企業が不振であるばかりでなく、世界へ打って出るような、活きのいいベンチャーも出てこない。それが日本を覆っている閉塞感の1つの原因であると思うのだけれど、Joiは、そうした日本の現状をどう見ているのか。忌憚のないところを聞かせてほしい。

伊藤穰一(以下、伊藤) 当たり前なことから言うと、日本は世界第2位のGDPを成し遂げ、マーケットが大きくなったから外に出る必要がなかったんだと思います。そして、そのときにうまく機能していたのが、「系列」をはじめとする縦割りのやり方だった。でもその後、世界を取り巻く情勢は大きく変わりました。

特にネットの世界で顕著だけれど、今は1人の天才が画期的な新製品を生み出すよりも、いろいろな会社や人がうまく組み合わさって、自分の得意な分野で協力して製品やサービスを創り上げていく。それを支援するのがインターネットで、だからネット上ではさまざまな人が有機的に結びついているんです。それがグローバルなプロトコル(規定、約束事)になっている。

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