実績とコネ:米国の就活で大事なモノ 再チャレンジでのNASA JPLへの就職

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新世代リーダーは、政治経済の分野だけに求められているわけではない。科学技術の分野にも、フロンティアを切り開く人材が必要とされている。当連載では、 MITで航空宇宙工学の博士号を取り、今年の5月からNASAジェット推進研究所(JPL)で勤務する筆者が、宇宙への熱い思いを語る。
南カリフォルニアは年中晴れている。JPLのキャンパスも開放的な雰囲気だ

幼い頃からの念願がかない、僕はNASAジェット推進研究所(JPL)に入ることができた。だが実は、過去に1度JPLの面接を受け、落とされたことがあった。僕はいわば「再チャレンジ組」なのだ。今回の記事では僕のアメリカでの就職活動の一部始終を書こうと思う。

日米の就職活動の違い

身の上話を始める前に、日米の就職活動の差について少しだけ一般論を述べたい。主に3点の差異があると思う。

第1に、大企業志向が日本に比べて弱いこと。優秀な学生ほど大企業のレンガの1ピースになることを好まず、ベンチャーなどでチャレンジングな機会を求める傾向があるように思う。起業した友人も周囲に4人いた。そのうち2人は純然たる理系学生である。1人は研究室の同僚なのだが、彼は博士課程の研究と平行して、地元の小学校から理科の授業のアウトソーシングを引き受ける会社をやっていた。

第2に、就職活動の時期が人によってバラバラなこと。とりわけ大学院生は卒業時期もバラバラだからなおさらだ。大抵の企業は通年採用をしている。日本のように空白の期間を作っては気まずいということもないので、卒業してからのんきに就職活動を始める人も多い。

第3に、とりわけ理工系の場合は「即戦力採用」である傾向が強いこと。日本企業は、数年かけて新入社員を自前で教育するという考えが強い。対してアメリカでは、教育は大学で終えるものであって、会社はあくまでアウトプットする場だと考えられている。JPLでも「新人研修」と呼べるものは1日しかなかった。その内容も、タイムカードの記録方法や健康保険の説明など、事務的なもののみだ。まさか名刺の渡し方などを練習させられるはずはない。2日目からはプロジェクトに加わり、働きながら仕事を覚える。

だから採用における評価基準を日本と比べると、将来のポテンシャルよりも、現在持っているスキルや知識と、過去の実績に重きを置く傾向がある。運動部でキャプテンをやっていた、などということはほとんど意味がなく、大学の成績、研究成果、教授からの評価などが主な選考基準となる。だからこそアメリカの大学生は大学での学業や研究を頑張るのだ。

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