中国人帰国子女は、意外にも活躍していない
前回は、中国の経済成長モデルの転換を促すポテンシャルを秘めた90後(1990年代生まれの中国人)の生態を紹介しました。今回は、やはり経済成長モデルの転換に影響を与えうる中国人帰国子女を紹介します。
私自身、中国と日本で約半分ずつ暮らし、中国にきちんと戻ったのは2012年1月ですから、半分、帰国子女のようなものです。上海で帰国子女のコミュニティの中にいると、「American born Chinese(アメリカ生まれの中国人)」などがたくさんいます。しかし、彼らが活躍しているのかと思いきや、意外と「中国の労働市場」で活躍していません。むしろ隔離されている雰囲気があって、私はビックリしました。
ここで言う「中国の労働市場」とは、「体制内の労働市場」のことです。中国には「体制内の労働市場」と「体制外の労働市場」があり、この2つの労働市場の間には見えない壁があります。この「体制内の労働市場」に帰国子女がまったく活用されていないのです。
「体制内の労働市場」とは政府関連企業や国有企業のこと、「体制」とは公務員、国有企業の職員、共産党員や軍関係者ら中国の特権階級の総称です。一方で「体制外の労働市場」とは民営企業、外資系企業やスタートアップなどを指します。
最近、中国ではトップ大学の学生が希望する就職先の選択肢が、「体制内」の「超安定的な公務員」か「もう少しアップサイド(給料が上がる余地)のある国有企業」になりつつあり、「体制外」の人気は下がり続けています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら