中国ではTwitterさえも世論操作のツール ネットから見える反日デモの実態

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ビジネスにおいて、日本と中国の関係は深い。しかし、日本で伝えられる中国ビジネスの姿は、実態とズレがある。では今、中国のビジネス界では何が起きているのか?
元財務官僚で、マッキンゼーで最年少パートナーとなった金田修氏。現在、中国で起業家として活躍する彼が、ネット業界、流通業界を軸にして、日本には伝わってこない中国ビジネスのリアルをつづる。第1回目は、反日デモをケースとして、日本と中国のインターネットの違いを浮き彫りにする。

 

私が2011年4月に創業した游仁堂(Yo-ren Limited)は上海に拠点を置いています。そのミッションは、日本のコンテンツ、ブランド、クリエーターに中国市場で活躍してもらう架け橋になることです。

具体的には、日本人デザイナーの感覚を生かした女性向けのファッションブランドmiao(ミャオ)を中国においてオンライン上で販売し、そこで培ったマーケティング手法やネットワークを生かして日系ブランドや製品のオンラインマーケティングの企画や運営をしています。仕事柄、ネット上の情報チェックは欠かしません。

今回の尖閣諸島国有化をめぐる反日デモの様子も、ネットとリアルの双方から見続けています。もっとも、我々のような小さな会社には、直接的な影響は今のところほとんどありません。

上海にいると、景気の減速は感じない

今年11月に上海で支援する予定だったファッションイベントの実施が延期になりましたが、ネット上の売り上げを見ると、当社もベンチマークとする日系ブランドも、ほとんど影響を受けていません。しかし、周りの状況を見ていて「もったいなあ」と思うことがたくさんあります。

昨今、中国の好景気のスピードが鈍っていると言われていますが、私は上海にいて、そのような感覚はまったくありません。中国経済は引き続き、堅調だと思っています。

この1週間ほどで目にしたのは、次のようなニュースです。

「米コーチ、中国を最大の成長ドライバーの一つと捉え、上半期も40%近い中国の売り上げ増が2桁増をけん引。他方バーバリーは中国での低調が株価に大きく影響」(10月23日WWD)。

「仏ペルノ・リカール(世界最大のスピリッツ企業)、直近四半期は中国の18%増とインドの18%増が牽引して6%増。」(10月25日ペルノ・リカール社プレスリリース)。

世界の消費財メーカーの趨勢は、これまでにもまして“中国次第”となりつつあります。加えて、この夏前ぐらいから、中国政府は投資の認可を加速し、金融政策もどんどん打っています。そんな状況下で今回の騒動が起きてしまい、日本企業が一歩後退、二歩後退してしまうのが残念でなりません。

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