また、僕の博士研究やJPLでの成果を、セクションのマネジャーの前でプレゼンテーションする機会をもらうことができた。僕の能力をアピールする絶好の機会だった。スライドの準備と練習に30時間以上を費やした。われながらベストのプレゼンテーションができたと思う。話し終えた後、非常に多くの質問を受けた。皆が興味を持ってくれたという手応えが確かにあった。
このインターンの結果、僕は2人のキーパーソンから気に入られることができた。1人がその日本人の先輩の上司、もう1人が研究プロジェクトのマネジャーだ。
彼らから声がかかったのは思ったよりも早かった。日本に帰国してから約半年後、僕はJPLへの転職のオファーを受け取った。30歳の誕生日を迎えた直後のことだった。
コネクションのはしご
「就職活動で最も大事なものはコネクションだ」という先のイギリス人の先輩の言葉は本当にそのとおりだったと、自らのJPLや慶應への就職活動を振り返ってみてつくづく思う。
まだ三十にして偉そうなことを言うのは恐縮だが、世渡りとはコネクションのはしごを登っていくようなものだと思う。今いる場所での勉強、研究や仕事を頑張れば、自分の能力を認めてくれる人が何人かでき、そのコネクションによって次のチャンスをもらえる。そこでまた頑張れば、さらにコネクションができ、次のチャンスをつかめる。進学、転職、あるいは社内での昇進、何であっても、そうやって自らの努力と人からの恩とを交互に積み重ねて、1段ずつ上へと登っていくのが、キャリアアップのための唯一にして最良の道なのだと思う。
どうすれば希望する海外の大学に合格できるかと相談を受けることがよくある。その中には「受験テクニック」のようなものを期待して来る浅はかな者もいる。もちろん、そのようなテクニックがないわけではなかろうが、まったく本質的なことではない。僕は彼らに対していつもこう答えている。今いる大学での勉強、今いる研究室での研究、今いる職場での仕事を全力で頑張り、先生、先輩、共同研究者や、上司、同僚に能力を認めてもらうことこそが、次のステップへ進むために最も大事なことなのだ、と。
※ 著者が設立し代表を務める米国大学院学生会が、「海外大学院留学説明会」を、6月から8月にかけて、北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、および大阪府立大学において開催します。殆どの会場では学外の方も参加可能です。出願、大学生活、就職活動などについて、現役留学生や留学経験者が講演を行います。詳細はこちらをご覧ください。
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