日本の”頭がいい人”に、一番足りないもの

テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る(上)

 「日本に必要なのは、イノベーションだ」――そうした意見はメディアにあふれていますが、「イノベーションを起こすために何が必要か」は十分に語られていません。そのヒントを知るには、実際に時代を変えるような事業を生み出している人物に話を聞くのがいちばんです。
 今回は、2010年に電動バイクのベンチャー企業、テラモーターズを設立し、日本発のメガベンチャーの創出を志す、同社の徳重徹社長に「時代を変える事業の創り方」を語ってもらいます(全3回)。
(本記事は、夢研究所「d-laboコミュニケーションスペース」で開催されたフォーラム、「時代を変える事業の創り方―新世代リーダーのためのイノベーション講座―」の内容を編集したものです。講演の映像はこちら

 星一徹のような怖い親父

テラモーターズの徳重でございます。今日は雨の中、本当にありがとうございます。

私はもともと大学は工学部です。でも親父とすったもんだがありまして、住友海上火災保険という非常に堅い会社に入りました。そこで5年半ほど頑張って勤めましたが、29歳で辞めてしまいます。でも非常に厳しい部署で先輩方に鍛えられたので、この会社には今も感謝しています。

僕はずっと親父から、「お前の成功はとにかく一流大学、一流企業に入って部長になることだ」と言われて育てられました。

うちの父親は本当にクレイジーで、腹を立てるとちゃぶ台をひっくり返すような、「巨人の星」の星一徹みたいな怖い親父なんですよ。僕は山口県出身ですが、田舎の長男は、すごく厳しく育てられます。月に1回ぐらい「説教の時間」というのがあって、正座して説教されるのです。そのときの教えの第何項かに「会社をやってはいけません」という項目があった(一同爆笑)。本当ですよ。当時、僕はまだまじめだったんで、親父の期待を裏切ってはいけないと思っていた。

本当はチャレンジするのか好きだから、ホンダとか、ソニーとか、世界市場を開拓するような会社に就職したかったのです。でも将来、山口に帰って来いというのが親父の夢。ところがホンダもソニーも山口県に支店がない。そこで山口に支店がある住友海上火災に入りました。

会社では一生懸命働いていたものの、でもやっぱり「何か違うんじゃないかな」という思いが断ち切れない。「もう親父のかせを外さないと俺の人生始まらない」と思って、一回、ゼロにしました。せっかく入った大企業で、しかも会社ではすごくいい部署で、社費でMBA留学をさせてもらえるかもしれない。でも会社のおカネでMBAに行くと辞めにくくなる。だから辞めて自費で行くことにしました。その後はシリコンバレーで仕事をするつもりでした。

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