日本の”頭がいい人”に、一番足りないもの テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る(上)
海外で僕らが高く評価される理由は3つあります。
ひとつは単純に日本の会社だから。これが日本国内なら、歴史が浅いとか、従業員が何人だとか、そういう物差しで計られてしまうのですが、単純に日本の会社だからということで、3倍にも4倍にも評価してもらえる。それくらい日本の会社、日本の製品、日本人に対する信頼感というのは圧倒的なんです。
インド人が言っていましたが、インド人から見ても信用できるやつは10%しかいなくて、90%は信用できない。だけど日本人なら90%は信用できる。残り10%が変なやつということですね。
「こんな日本人がいたのか」
2つ目は僕たちが日本で実績があることです。僕たちは設立してまだ3年ほどなのですが、一応、これでも日本の電動バイク市場ではホンダとかヤマハよりも圧倒的トップのシェアを取っています。それが2番目の理由です。
でもこういう会社だったら、日本にはいくらでもあるわけです。だから海外ではみんな日本と一緒にやりたいんですよ。
3番目に、これが極めて重要なことですが、僕らは意思決定が速い。逆に日本の企業はここが足りないがために、1番目と2番目のよさが全部帳消しになるんです。
でもそんな中に僕みたいに打てば響くやつがいると、「こんな日本人がいたのか」とめちゃくちゃ喜んでくれるのです。
だから僕たちは海外で有力なパートナーを見つけやすい。たとえば今、フィリピンの東京電力のようなメラルコという会社があるのですが、そこと僕たちはフィリピンのインフラをどうしましょうかと、話をしているわけです。こんなこと、日本国ではありえないでしょう。海外ではこんなすごいチャンスがあるのです。
この前もインドに行ったら、ティアワンという部品メーカーと合併しようという話になった。そこは日本円にしたら10兆円くらいの会社です。日本でいうとデンソーまではいかないけど、アイシン精機ぐらいの規模の会社です。それが第1回目の打ち合わせで、オーナーこそ出てこないものの、技術のトップとビジネスのトップが出てきて「合併しよう」という話になるんですよ。もう行く先々でそんな感じです。