日本の”頭がいい人”に、一番足りないもの

テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る(上)

アジアは、市場があるのに競合が少ない

では、僕たちが具体的には何をしているかというと、電動バイクの販売です。バイクの世界の販売台数でみると、日本は市場が30万台しかないので、それはアジアでやったほうがいい。当たり前の話ですね。EVだったらテスラモーターズという4輪のすごい会社があるんですけど、2輪とか3輪ではまだそれほどないのです。

これはベトナムで2年前に撮った写真です。道路がバイクに乗った人で埋め尽くされていますが、排ガスがひどくて、みんなマスクをつけています。最近はもっとひどくなって、さらに黒いサングラスをかけているのです。目まで痛くなるからですね。銀行強盗の集団がバイクに乗っているかのようです。

タイもインドネシアもこんな感じです。今のバイクはうるさいし、汚いし、しかも現地のガソリン価格は高い。ということは、電動バイクにものすごい需要が見込めるということです。つまりロジカルに考えて、市場があって競合が少ないからやっている。

僕は世界市場にテラモーターズの製品を出すことによって、シリコンバレーの奴らを驚かせたいなと思っています。シリコンバレーの人たちのベンチャーに対する考え方の基本ベースは、change the worldです。つまり世界を変えるくらいのつもりでやっている。だからちょっと上場して、10億円くらい儲けようみたいな、そういう発想ではないのです。僕も同じです。

チャンスに手を挙げない日本の大手企業

それからもうひとつ、フィリピンで大型プロジェクトが進行中です。

フィリピンではトライシクルというオート3輪のタクシーが国民の足です。電車のような公共交通がないものですから、国民の67%がこのタクシーを使っている。でもガソリンエンジンの排気ガスが深刻な大気汚染の原因になっているので、フィリピン政府がアジア開発銀行(ADB)の融資を受けて、2016年までに10万台ほどEVにするというプロジェクトがあって、今、入札が始まっています。

ところが情けないことに、また例のごとく日本の大手企業は手を挙げない。参加したのは韓国勢、台湾勢、中国勢、フィリピンローカルの会社が6社、そして日本では僕たちです。日本の大企業は全然、手を出さないのです。

結局、この10年間で、ソニーとか、パナソニックとか、シャープがひどいことになってしまった。もちろん先進国では全然、負けているふうではないし、日本国内ではまったく負けてないのですが、新興国の中間層が6億人増えているのを、サムスンとか、LGとか、ヒュンダイに奪われてしまっている。彼らはそれこそ戦略的に勝てる市場でやってきたわけですよ。

だから日本の大企業が、それができないのだったら、これを僕たちがやることによって、やはり新しい成功モデルを出したいんですね。

 (構成:長山清子、撮影:尾形文繁)

※ 続きはこちら:今の日本の経営者は、しょうもなさすぎる

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