伸び切ったエリートに足りない、芸術の素養 品性や倫理観は、詰め込み教育ではなく芸術が育てる

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「確かに音楽は、私たちの硬直した心に入り込み、それを解かしてしまう力がある――敬虔な気持ちにしてくれる力だったり――」と坂本さん。音楽に限らず、文学でもそのほかでも、芸術が私たちにもたらしてくれる力の大きさを考えるとき、このおふたりの言葉が、決まって思い浮かびます。

国のシステムとして、もっと芸術教育を

日本は先進国の中でも、芸術や文化を軽視しがちな国だとよく言われます。官民を問わず、海外に出る人がかつてなく増加している今日、芸術や文化に対する無策は、国益に影響すると言っても過言ではないと言う人は多いです。

やっと入った“一流大学”では伸び切ったゴム。そんなゴム状態でもエリート街道の入り口にはいちばん近い、というシステム。「倫理はないが能力はある」人を輩出するシステムには本当にもう、うんざりです(ほとんどのエリートはそうでないという認識を持っていますので、念のため)。

エリートはもちろんのこと、エリート予備軍や私のような凡人やその予備軍にも、押しなべて、芸術や文化がつねに身近にあってその素養を養えるような、心にゆとりが持てる教育システムや社会的な環境作りがもっとなされればと、切に思います。社会のあちこちで発生する、精神的なゆとりさえあれば防げられたであろうトラブルを聞くたびにも。

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