伸び切ったエリートに足りない、芸術の素養 品性や倫理観は、詰め込み教育ではなく芸術が育てる

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姉たちがピアノ好きでよく練習していたので、クラシックのピアノ曲が一日中家に流れている環境だった。母は、おかげで好きな音楽を聴きながら家事ができるとうれしそうだったが、私には騒音に近く、幼少期のトラウマとなっている。悲愴や何々ソナタなど、私にとっては聞いていて落ち着かない曲ばかりだったのだ。

このように、ある者にとってはすばらしい音楽環境でも、ある者にとっては逆である場合もある。勉強同様、環境も含めて無理矢理にピアノを押し付けるのではなく、ピアノを自主的にやりたくなるように仕向ける工夫をしてほしかった。もっと世界が広まったに違いないのだから。

中高一貫校についていえば、たとえばそのまま大学まで進める慶応大学などは、経済的に問題がなければお勧めだ。まず官僚になるか一部の国内の旧態依然とした東大閥の滅び行く元・国営企業でもないかぎり、慶應と東大でキャリア上の差はない。生涯賃金は慶應のほうが高いくらいだ。

しかし入るための努力として、東大は非効率でバカらしい偏差値教育と無意味詰め込み型教育に大まじめに付き合って、青春の大部分を予備校と机の上で費やさなければならない。この間に、使える英語やリーダーシップの経験を積ませておくほうが人生をよっぽど豊かにするであろう。

私も嫌々ながら中学と大学受験で日本の非効率偏差値教育システムに付き合って勉強したが、それはそれはつまらなかった。わが子には決して同じ教育の犠牲になってほしくないと思っている。

なお自主性に関し、彼はいいことを言っている。そう、同じ大学でも大学生活の過ごし方に大きな差があり、その後のキャリアや人生の満足度で、甚大な差がついているのだ。大学の勉強でも、研究でも、留学でもネットワーク構築でも会社生活でも、自主性のある人は仕事を待たず次々と自己開発・会社へ貢献する機会を探すのに対し、受け身の人はたいてい自分からは動かず、できればサボれる機会ばかり探している。

強制的に勉強させてきた外部の圧力(私の場合は母親)が手離れしたあとも、自主的に勉強したい、と思わせてくれる心のエンジンを持てるよう、自主性、主体性を持たせる教育は、親が子供に与えられる最大級のプレゼントのひとつだと思っている。

<パンプキンからのコメント>

エリートは伸び切ったゴムになりやすい?

一昔前の話ですが、「〇〇しゃぶしゃぶ」という言葉が世間を騒がせたことがありました。特殊な風俗店で食する「しゃぶしゃぶ」のことですが、これだけでは評判にはなりません。これがエリート中のエリートである大蔵官僚が、接待を受けて食べた「収賄〇〇しゃぶしゃぶ」だったことから、世の注目を集めました。

昔から古今東西、政治家と官僚に汚職はつきもので、いちいち記憶にとどめられるものではありませんが、本件は、日本の金融不安のさなか、その舵取りを任されているエリート官僚が受けた接待の品性の悪さが際立ち、長く私たちの記憶に残る事件となりました(汚職に品性の良しあしなんて、あったものではありませんが)。

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