医師不足解消のためにやるべきこと キャリアコンサルタントが考える、医師不足

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この「金持ちドクターと貧乏ドクター」のコラムは、おかげさまで今回18回目の連載となりました。日々、新たな記事が投稿され、多種多様で面白い記事が目白押しの中でここまで書くことができたのも、読んでいただいた皆様のおかげだと思っております。

私も一般の方に医師の大変さやその苦悩、ちょっと変わっているところ(?)を少しでもお伝えしようと思い、これまで書いておりますが、今回でいったん、このシリーズを終了または休止させていただきます。また編集部の方と打ち合わせをさせていただき、ご要望があれば、続編または違った形での掲載を考えていきます。

そこで、最終回を飾るにはどんな話題がいいかと考えた結果、やはりこの話題抜きには医師のことは語れないということで、「医師不足解消のためにやるべきこと」ということを、キャリアコンサルタントとしての立場からお話したいと思います。

長らく“医師不足(もしくは偏在)”という話題は、さまざまなところで議論がされ、情報に敏感な東洋経済オンラインの読者の皆様は、どのような経緯で不足もしくは偏在が拡大したか、その基本的なところはご承知だと思いますが、まずはその背景についてお伝えします。

新医師臨床研修制度がもたらしたもの

ご存じのとおり、2004年度から始まった新医師臨床研修制度は、研修医が出身大学の医局の枠にとらわれず、自由に研修病院を選択できるということになりました。それが引き金となって医局の崩壊、人員不足を招き、医局の関連病院(特に郊外や僻地にあるところ)に医師が送れなくなり、医師不足がより深刻化したということがよく言われます。

実際、求人である病院からは、2004年度以降、「大学医局からの派遣がなくなり困っている」という声が多く聞かれますので、この制度が地域の差こそあれ、医師不足・偏在を拡大させたのは間違いなさそうです。一方で大学、民間を問わず人気の病院には、研修医が多く集まっています。どうしても都心の病院にその傾向が高いですが、自由に研修先を選べることになれば、それも当然な話。では、なぜ国はこのような研修制度を取り入れたのでしょう?

それはこの臨床研修制度の下で、研修医といえどもきちんとした教育環境、労働環境を整え、同時に2年の間にさまざまな科目を回ることで、医師として基本的な診療能力を身に付けさせることを目指したものだったからです。それ以前といえば、研修医は自分が卒業した大学の医局に入り、ぼろぞうきんのごとく上級医師の下働きをさせられ、しかも薄給のためアルバイトをしなければ生活できず、とても合理的な研修が実施されているとは言えませんでした。

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