これから映像メディアはどうなるか
佐々木:塩野さんはライブドアにいらしたとき、フジテレビ・ニッポン放送の買収にかかわりましたよね。
塩野:ええ、当時、取締役だった熊谷さんと一緒に実務・交渉を担当しました。
佐々木:そのとき、メディアのこれからについて、そうとう考えられたのではないですか。
塩野:それはもう目の前の現実として考えました。
佐々木:最近、私もメディアに関する本を出しました(『5年後、メディアは稼げるか』)。扱ったテーマは、活字メディアの今後なのですが、最近、講演会や取材で、テレビなどの映像メディアはこれからどうなるのかと聞かれるようになって、私はよくわからないので、答えようがないんです。
そこで、塩野さんに映像メディアと活字メディアの両方についてうかがいたいと思います。
塩野:わかりました。ライブドアがニッポン放送株を取得したのは2005年2月8日だったのですが、先日、フジテレビでベンチャー関連のイベントがあって私が行きましたら、「いちばんフジテレビに来ちゃいけない人じゃないですか」と、会った人みんなに言われました(笑)。
テレビとネットの融合はシンプルなこと
佐々木:もう8年も経つんですね。この8年でテレビは変わりましたか。変わっていないですか。
塩野:当時、いろんな方々が、テレビとネットの融合というのを「未来の魔法の箱」みたいに漠然とイメージしていたのですが、ライブドアは「いや、全部の番組にURLをのせて、番組に出ているモノや情報がすぐ買えればいいだけなんですよ」と言っていた。
今となっては、もう当たり前ですよね。それこそテレビ局がベンチャーキャピタルをつくる時代になっている。でも、その頃は「それだけのこと?」みたいな感じだったんですね。「もっとすごい未来が起こるんじゃないの?」と、テレビとネットの融合ってもっとSFチックなことをみんなが期待していた。
今はそういう時代が来ましたよ。テレビ本体を買ったら、ネットにWiFiで接続されて、オンデマンドで何でも見られますし、YouTubeが見られますからね。2000年初頭は役所も電気メーカーも、「テレビでインターネットの変なモノが見れたら、誰が責任取るんだ?」とか心配していましたから。時代は変わりましたね。でも、テレビとネットの融合って本当はすごくシンプルなことなのです。人々は結局、テレビを見ながらパソコンで検索したり、スマホをいじるというふうになっている。実はもうこれで融合なんですよ、という話だったのですが、2005年の当時は全然ウケなかったですね。
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