テレビの強さはアジェンダ設定力
塩野:テレビのメディアとしての現在のポジションをいうと、テレビはやっぱり相変わらずめちゃくちゃ強いですね。
その強さって、「アジェンダ(議題)設定力」なんですよ。テレビでネタ出しされたものを、みんなでソーシャルメディアで盛り上がるでしょう。これは8年前から言っていたのですが、その議題設定力はまったく衰えていません。
「笑点」の大喜利のようなもので、「あまちゃん」とか「半沢直樹」というお題を出されて、みんなが座布団の上に乗っかって、ソーシャルメディアで盛り上がる。テレビを見ながら、パソコンを開いてスマホをやって、半沢直樹が土下座したときにみんなツイートするという。「バルス祭り」なんかもそうですよね。
ネット発の話題にしても、たとえば炎上した話とかも、それがテレビで取り上げられて初めて、お題になったことがリテラシーを超えてマスにわかるというところがまだあります。この「アジェンダ設定力」がやっぱりテレビは強い。
佐々木:むしろ強まっているぐらいですよね。
ネットのニュース記事は「今ここまで」
塩野:一方で、ニュースメディアとしてのテレビというところでは、新聞同様、次の打ち手は必要ですが、そもそも調査報道自体をそんなにウリにしていない。
テレビは尺が決まっているけれども、ネットは決まっていないというのも大きな違いです。まさに「東洋経済オンライン」の私のこの連載(「キャリア相談 君の仕事に未来はあるか?」)もそうですが、あんなにダラダラ書いて、全部載せられますからね(笑)。
ロイター、ブルームバーグの経済ニュースに代表されるように、1回出したニュース記事を何度もアップデートしている。まさにネットの特徴です。だから、ネットはニュース記事が日付と時刻入りなのです。「今ここまでのお知らせですよ」というマーケット情報。字数は全然関係なく、アップデートをし続ける。
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