何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
儲かったのは、インテリより「株屋のおじさん」
どんな業界でも儲かる人は、海のものとも山のものともつかないカオスの時に業界に飛び込んだ人です。
20~30年前には日本における外資系金融は「変人」の行くところでした。例えば1980年代のジャパンマネー最強の時に、弱小金融機関の東京支店に入社するのは勇気がいったことでしょう。90年代の中頃でも新卒で外資系金融機関に行くのは変わった人だったと思います。
ご存じのとおり、比較的近年においては2000年の米国IT株式バブル、リーマンショック前の米国住宅バブルといった市場の盛り上がりを外資系金融機関でシニアレベルでのタイトル(役職)で享受できた人は、ひと財産をつくったことでしょう。
または新規性のあるデリバティブやヘッジファンド商品を日本の機関投資家や富裕層にたくさん売ることができた人や、今では懐かしいNTTドコモといった90年代後半の大型上場のグローバルオファリングに絡めた人も儲かったかもしれません。
そこで儲かった人たちは、東大新卒の学生がこぞって外資系金融機関に入ろうとしたずっと前に入社した、どちらかといえばインテリというよりは「株屋のおじさん」たちでした。業界がエスタブリッシュメントになる前に飛び込むことができて、業界がとてもうまくいくと個人は利益を享受することができるのです。
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