"たった80年前"に日本が起こした「戦争の過去」 子どもたちにきちんと伝えられていますか?

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日本が太平洋戦争に突入した経緯について、子どもでもわかるように解説します(写真:shu/PIXTA)
2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界各地で勃発している戦争のニュースに胸を痛めない日はありませんが、そんな時代だからこそ私たち大人は、日本が戦争の当事者だった過去があることを、子どもたちにきちんと伝えていく必要があるのではないでしょうか。
そこで本稿では、東京大学先端科学技術研究センター准教授・小泉悠氏が監修した『僕らは戦争を知らない 世界中の不条理をなくすためにキミができること ハンディ版』から一部を抜粋・編集する形で、日本が太平洋戦争に突入した経緯と戦後の歩みについて、子どもでもわかるように解説します。

日本の「アジア侵略」と第2次世界大戦

今から約170年前、鎖国をしていた日本に黒船が来航し、日本は開国しました。江戸幕府に代わって新しい政府が誕生し、近代化を進めていきます。

当時、イギリスやフランス、アメリカなどの欧米の国々は、世界に勢力を拡大し、アジアやアフリカ、太平洋地域を次々と植民地にしていました。日本も欧米諸国に対抗するため、徴兵令によって国民に兵役の義務を課し、軍隊をつくりました。

そして、中国にあった清という国との戦争(日清戦争)や、ロシアとの戦争(日露戦争)で勝利を収めると、中国の一部や台湾に勢力を広げ、さらには韓国を植民地化しました。こうして日本は、欧米諸国に肩を並べる大国としての地位を築いたのです。

その後、第1次世界大戦にも参戦した日本は、ますます勢力を広げていきます。

1931年、中国東北部の満州で、日本軍(関東軍)は鉄道の線路を爆破し、これを中国側のしわざだとして軍事行動を始めました(満州事変)。翌年、日本軍は満州国の建国を宣言し、これをきっかけに日本は満州を実質的に支配しましたが、この行為は国際社会から批判されました。

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