東京の名門「女子学院」が施す人間教育の本懐 「聖書」で世界を知り「礼拝」で自分を知る

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「他の学校の先生からは聖書の時間になんでもっと考えさせる時間を与えないのか、なぜもっとディスカッションをさせないのかと聞かれることがあります。でもその答えがまさに礼拝なのです。聖書の時間はあくまでも基礎知識を学ぶ時間。それをもとにして深く考えるのが礼拝の時間です」と魚屋教諭。

上級生に意見を言えてこそ女子学院生

聖書の授業は、世界・人間に対する広い視野を養う時間。礼拝の時間は、自分に対する深い洞察を得る時間。

聖書と礼拝の両輪がバランスよく回転することで女子学院の教育は前に進む。その意味で、女子学院の教育には3つのマイルストーンと呼べる行事がある。中2の「ごてんば教室」、高1の「ひろしまの旅」、高3の「修養会」だ。

「ごてんば教室」は女子学院の「入口」といわれている。毎年テーマを決めて、2泊3日の時間をかけてグループディスカッションをくり返す。最後は「全体会」という場で意見をぶつけ合う。

「ごてんば教室を経験すると、ただ感情を吐き出すのでも思いつきを言うのでもなく、相手の意見を取り入れて自分の中で咀嚼して自分の言葉で相手にわかりやすいように伝える技術が身に付きます。ごてんば教室を経験すると、上級生にも臆することなく自分の意見を言えるようになります。それができて初めて女子学院生であると認められます」と図書館司書の梶原恵理子教諭。自身も女子学院の卒業生だ。

「ひろしまの旅」は広島平和記念資料館などを訪れるだけでなく、広島で平和について考え、ディスカッションを重ねる行事。高3の7月に実施される「修養会」は6年間の女子学院生活のクライマックスといってもいい。「ごてんば教室」と同様の形式で実施される。ただし4年前とはレベルが格段に違う。受験勉強の天王山に差し掛かろうというタイミングだからこそそこで、自分がどこに向かっているのか、なぜ勉強しなくちゃいけないのかを見つめ直すのである。

聖書と礼拝の時間だけでなく、女子学院でのすべての授業が、この3つの行事のためにあるといっても過言ではない。

全学年からの希望者が参加する「春の修養会」(写真:女子学院提供)
おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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