東京の進学校「海城」が学ばせる究極の対応力

即興演劇の授業は何を狙いとしているのか

相手の演技に合わせ、それぞれがほとんど自然に、自分の役割を調整する
名門進学校で実施されている、一見すると大学受験勉強にはまったく関係なさそうな授業を実況中継する新連載。その授業に込められた「深イイ」意図を探り、いい学校とはどんな学校か、いい教育とはどんな教育かに迫る。

無茶ぶりから、即興劇をつくる

中学2年生が机もいすもない教室に集まる。3週間にわたって実施される体験授業「ドラマエデュケーション」が始まる。ここは東京・大久保にある中高一貫の進学校、海城中学高等学校だ。

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生徒たちが主体になって演劇をつくる授業ながら、文化祭などで発表するような舞台劇を時間をかけてみんなでつくりあげるのとは違う。舞台演出はもちろん、音響も小道具も衣装も使用しない。お笑いのコントやパントマイムのように、体だけで演じ、観客に状況を想像させるタイプの演劇だ。

「演劇とは……」「この授業の目的は……」のような理屈は抜き。簡単なアイスブレークの後、まずは2人組で行う「3秒で劇」。言い渡されたお題に合わせた即興劇を、3秒間のうちに演じなければいけない。

「はい、では最初は、ドロボーとおまわりさん!」

生徒たちはとっさにドロボーを演じたり、おまわりさんを演じたりする。たった3秒では打ち合わせなどできない。2人組が同時にドロボーを演じてしまうこともある。そのときはとっさにどちらかがおまわりさんを演じる役に回る。

「歯医者と患者!」「先生と生徒!」「バッターとピッチャー!」と役割のはっきりしているお題ならまだいい。だんだんと難易度が上がる。

「では次は、バットとボール!」

演じるのは、人ではない。「ケチャップとマヨネーズ!」「傘!」などのお題が続く。なんとか自分の中のイメージを、体を使って表現し、さらに相手の演技に合わせてお互いに自分の役割を調整する。ほとんど「あうんの呼吸」である。

次ページ一人ひとりが自発的に自分の役割を見つけていく
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