東大合格2位の女子校で毎朝裁縫をする理由 豊島岡の「運針」は自分史上最高を越えていく

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8時15分からの5分間だけは、まるで時が止まってしまったかのような静寂に包まれる
名門進学校で実施されている、一見すると大学受験勉強にはまったく関係なさそうな授業を実況中継する本連載。第2回は東京・池袋の女子校「豊島岡」の「深イイ授業」を追う。
第1回:東京の進学校「海城」が学ばせる究極の対応力

真っ白な布に、赤い糸を縫っていく

池袋駅東口からまっすぐ伸びる大通りに面して、豊島岡女子学園中学校・高等学校(以下、豊島岡)はある。8階建ての校舎は、よく見ればたしかに学校らしいたたずまいではあるが、気をつけていなければまわりの商業ビルやオフィスビルにまぎれて素通りしてしまうかもしれない。通りの反対側から見ると、豊島岡の校舎の背後にはサンシャイン60がそびえている。

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朝7時、校門が開く。始業時間の8時10分までにはまだ余裕があるが、パンパンに膨らんだカバンを両手に持った生徒たちが吸い込まれていく。部活の朝練かもしれない。名物「月例テスト」の追試かもしれない。

「月例テスト」とは、朝のホームルームの時間を使って実施される5〜10分間の小テスト。高1までは漢字、英単語、数学の3種類。高2以降は古文単語、英単語、そして理科または社会の3種類。それぞれ月に1回のペースで実施するので、結果的に毎週いずれかの月例テストを受けることになる。しかも合格点を取れるまで追試が待っている。

これが豊島岡生の基礎学力を担保し、昨今の大学合格実績の土台になっていることは間違いない。東大合格者数に関して言えば、いわゆる女子御三家をも凌駕する実績を誇っている。

8時15分からの5分間だけは、豊島岡の校舎全体が、まるで時が止まってしまったかのような静寂に包まれる。私語は一切許されない。いすを引く音すらしない。「運針」の時間だ。

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