「大学付属校」の内部進学がズルく見える理由 なぜ、内部推薦や他大受験規定を隠すのか
大学付属中高の人気が上昇中
2020年以降の大学入試改革が議論される中、中学受験において大学付属校の人気が高まっている。一時期は「大学全入時代なのだから大学ではいるほうがラク」ということで、大学付属校はどこも人気を落としていたが、思わぬところから追い風が吹いた形だ。
消極的な理由としては、いまだ先行きが見えない大学入試改革の混乱を避けるため。拙著『大学付属校という選択』で詳しく触れているが、積極的な理由としては、探究型学習や教養主義など、大学入試改革が目指す新しい学力観に基づく教育がすでに大学付属校にはあるからだ。
拙著では早慶MARCH関関同立(早稲田・慶應・明治・青学・立教・中央・法政・関大・関学・同志社・立命館)の付属中高77校を網羅した。当初はもっと学校数を絞って掲載する予定だったが、大学付属校のしくみを解き明かそうとするうちに結局ほとんどの学校を取材する必要に迫られ、全校を掲載することになった。
普通の私立中高一貫校は、たとえてみれば中小企業のような組織である。校長が「社長」であり、自分の言葉で自分の学校について語ってくれるのでわかりやすい。しかし大学付属校の場合、大学という「本社」があり、その「支社」としての付属校という多重階層になっているので、全体像がとらえにくい。